藤木 大地 Daichi Fujiki (カウンターテナー)

<公演後コメント>
演奏はいつも、感謝とともにおこないたいと思っています。楽器を持たせてもらったことへの感謝。場をいただいたことへの感謝。その場を裏で支えてくださることへの感謝。聴いてくださることへの感謝。「パフォーマンス」とは、このような環境が整って初めておこなえることで、自分はこんな音楽家なんだ!自分が信じるものをみんなに聴いてもらいたいんだ!と願っても、「自分」の力だけでは実現されることはありません。いつもこのように思っていますが、それにしても今回のフェスティバルでは、そのいつもの思いをより一層強くすることができました。僕という新しい楽器をウィーンでいちから育てる決断をし、支援をしてくださったことへの感謝。さらなる演奏の場を与えてくださることへの感謝。大きなフェスティバルの運営を安全に支えてくださる皆さんへの感謝。そしてあたたかく迎えてくださった京都のオーディエンスの皆さんと、この場がなければ集えなかったフレンズの皆さんへの感謝。みんなが集まる「広場」たる音楽会の、その中心には音楽があり、無数の人が点として、いろいろな事情といろいろな気持ちで音楽に関わっています。その点のすべてを丁寧に結んでくださった皆さんに、そして僕を演奏家にしてくださったローム ミュージック ファンデーションの皆さんに、心から感謝申し上げます。ありがとうございます。

<出演にあたってのコメント>
前にも書いたかもしれないけれど、僕は京都には足を向けて寝られないのである。その「前」から数年が経ち、その間にこの地との関係もより深まったように思う。そこで奏でるモーツァルト。春の京都でモーツァルト。爽やかな空気とあでやかな色彩。ぴったりじゃないか。
「カウンターテナー・フジキダイチ」は、京都からウィーンにいただいたご支援で生まれた固有名詞です。いつまでも感謝を忘れず、いつまでもいい音楽を。やっぱりモーツァルトはぴったりだ。

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