エンジニアコラム

Motor Notesブラシレスモーターのセンサ付とセンサレス駆動の特徴と使い分け

2018.06.26

私たちの身の回りにはたくさんのモーターが使われています。エアコン、洗濯機、掃除機などの家電、冷却ファン、ハードディスク、DVDなどが搭載されているPC、その他、自動車、電車、ビル、工場などでも目に見えないところで多くのモーターが活躍しています。

これらの中にはモーターの回転数やトルクの制御が行われているものがたくさんあり、その起動および駆動方式を大別すると「①位置センサ付駆動」と「②位置センサレス駆動」の2つに分けることができます。

  • ①位置センサ付駆動:モーターの回転速度や回転位置を検出するセンサが必要なモーター駆動法
  • ②位置センサレス駆動:上記センサが不要なモーター駆動法

モータードライブシステムの基本構成

①のセンサ付駆動のメリットは、モーターの起動および駆動時の位置および回転検出を確実に行い、ハードロジックコントローラ内蔵のモータードライバーで低速から高速までスムーズなモーター駆動と回転制御が可能な点です。デメリットは、モーター内にホール素子/ホールICなどのセンサを実装しなければならないことから、センサの実装位置精度の考慮を要することと、センサとモーターコントローラを接続する配線が必要になることです。

②のセンサレス駆動のメリットは、物理的にセンサが配置できないモーターや、高温、水、油など劣悪な環境にさらされるモーターの駆動に対応できる点です。デメリットは速度起電圧を利用しているため低速が苦手で、回転位置はMCUの演算推定で割り出すことになるため全体の応答性が悪くなります。また、位置および回転検出センサの代わりにモーター電流、電圧、モーターパラメータ(モーター巻線のR、L)を利用した演算推定は、モーターの個体差の影響を受けます。なお、センサレス駆動には、MCU以外のハードロジック専用コントローラによって外部強制転流信号で起動し、その後、速度起電圧を位置信号とする方法もあります。

このようにそれぞれに一長一短があります。したがって、モーターを使用する環境、信頼性の要求度合い、モーター負荷(定トルク、定出力、回転数2乗)の種類などの要求特性に応じ、それに適したモーター駆動法を選択する必要があります。

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