ブラシ付きDCモーター|基礎編

Hブリッジ回路によるブラシ付DCモーターの駆動:原理

2018.08.28

この記事のポイント

・Hブリッジ回路はモーターの接続状態を変更するための回路。

・4つのスイッチ(トランジスタ)を使って4つの接続状態の切り替えを行う。

・実際のブラシ付きDCモーターの駆動回路はHブリッジ回路と電圧制御回路の組み合わせになる。

ここからは、Hブリッジ回路によるブラシ付きDCモーターの駆動方法について説明していきます。今回は、具体的な駆動方法に入る前に、Hブリッジ回路の原理について説明します。

Hブリッジ回路とは

基本的にブラシ付きDCモーターには2本の電源端子があり、この2本の端子に電圧を印加することによりモーターを駆動します。端子2本の接続の組み合わせは以下の4つになります(これ以外にない)。

  ①2本の端子をそれぞれどこにも接続しない。(一方が接続し他方が接続していない場合も同じ)
  ②一方の端子にDC電源の(+)を、他方に(-)を接続する。
  ③DC電源を②と逆の極性でモーターに接続する。
  ④2本の端子同士を接続する。

この4つの状態は、4つのスイッチを用いた以下の回路によって実現できます。この回路の形状がアルファベットの「H」に似ていることから、Hブリッジ回路と呼んでいます(フルブリッジ回路とも言う)。

①の電源端子がどこにも接続していない状態は、SW1~SW4のすべてがOFFで得られます。

②の一方の端子にDC電源の(+)を、他方に(-)を接続するためには、SW1、SW4をONにしてSW2、SW3をOFFにします。これでモーターはある方向に回転します。

③は②とは逆の接続です。SW1、SW4をOFF、SW2、SW3をONにします。これで②とは逆方向へ回転します。

④は電源端子同士の接続です。SW1、SW3をOFF、SW2、SW4をONすると端子同士が接続状態になります。

ブラシ付きDCモーター接続変更回路

実際のHブリッジ回路例

上図は接続の組み合わせをわかりやすく説明するためにスイッチを使いましたが、実際の電子回路では4つのスイッチは半導体のパワートランジスタを使います。右に示した構成が実際のHブリッジ回路です。この回路では電源の(+)側のトランジスタ(Q1、Q3)にPチャネルMOSFET、(-)側のトランジスタ(Q2、Q4)にNチャネルMOSFETを使用しています。

ブラシ付きDCモーターHブリッジ回路

実際の駆動回構成例

モーターの回転数を変化させるためには、モーターに印加する電圧を変化させる必要があります。そのために、電源とモーター間に電圧の制御回路を挿入し、直接または間接的にモーターにかかる電圧を制御します。(-)側は直接モーターにつなぐ方法と、制御回路を入れて(-)側も制御する方法があります。実際の駆動回路は、接続を変更するHブリッジ回路と電圧制御回路を組み合わせて構成します。

ブラシ付きDCモーター回転制御回路構成例

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