環境センサ Part 5：光源によるばらつきが少ないアナログ照度センサIC

ロームの照度センサICシリーズは、暗がりから直射日光下までの広い範囲の照度測定が可能で、電子機器における液晶画面の輝度調整に使用する照度データを出力します。アナログ電流出力とデジタル出力の2タイプを用意しており、様々なアプリケーションに対応します。また、様々な光源に対して感度のばらつきが小さいことを特長としています。

携帯電話、液晶TV、ノートPC、タブレット、携帯ゲーム機、デジタルカメラ、デジタルビデオほか、様々なディスプレイ搭載機器で、低消費電力化や画面の視認性を向上させることができます。

電流出力アナログ照度センサICシリーズ

アナログ電流出力の照度センサICシリーズは、フォトダイオードと電流アンプで構成されています。出力に抵抗をつけて出力電流を電圧変換して使用します。

一例として、シリーズのBH1603FVCは、0 lxから100,000 lx以上までの照度を測定できます。電源電圧は2.4V～5.5Vで、3段階の出力感度切り換えを備え、感度のばらつきは±15%です。

BH1603FVC

内部構成はシンプルです。PDは視感度に近い分光感度特性を示すフォトダイオードです。このフォトダイオードの電流を増幅する電流アンプ（Current Amp）が照度に該当する電流を出力します。GC1とGC2は、アンプのゲインとシャットダウンモードを2ビットのロジックで設定するための端子です。

アンプのゲインは入力に合わせてH、M、Lの3段階に調整しできます。選択は必要な照度検出範囲によって行います。

 ～1,000 lx　→　Hゲインモード
 ～10,000 lx　→　Mゲインモード
 ～100,000 lx　→　Lゲインモード

ただし、これらは目安です。実際の設計では、照度センサICの上に光学窓がついた形で実装されることになるので、照度センサが検出する照度は実際の照度より減衰しています。したがって、この減衰量を考慮する必要があります。

出力される電流を電圧に変換する出力抵抗R1は、1k?～1M?の範囲で、次段の入力インピーダンスの影響を考慮した上で設定してください。出力電圧およびR1は以下の式でおおよその値が計算できます。

出力電圧 Viout（V）＝0.6×10^-6×Ev（lx）×R1（?）　　（0.6×10^-6：Hゲイン時の係数、Ev：ICでの照度）

通常、このVioutをデジタイズするためにはA/Dコンバータを利用します。A/Dコンバータの入力スパンから、例えば最大入力電圧を2Vに設定したい場合は、上記の式を変形してR1を計算します。

 R1＝Viout÷（0.6×10^-6×Ev）＝2÷（0.6×10^-6×Ev）＝6,667（?）　　→E系列の6.8 k?を選択

Hゲインモードを例にしましたが、Mゲイン時の係数は0.06×10^-6、Lゲイン時は0.006×10^-6にて計算してください。

C1を入れることにより、AC電源の50/60Hzに同期した照度の揺れであるフリッカ光の影響を低減できます。必要な場合はR1と時定数（C1×R1）を0.1程度に設定します。

その他の詳細は、BH1603FVCのデータシートを参照いただければと思います。

以下は、電流出力アナログ照度センサICの現状のラインアップです。

電流出力アナログ照度センサIC