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環境センサ Part 2:高感度を達成し省電力化と小型化を促進する光学式脈波センサIC : BH1790GLC

2017.04.25

近年のウェアラブル機器には、脈拍数測定機能の搭載が一般的になってきました。ウェアラブル機器は、その性質とバッテリ容量の制限から小型化と省電力化が大きな課題であり、屋外環境においても高精度の測定が求められています。BH1790GLCは、ロームが開発した業界トップクラスの低消費電力と高感度を実現した新しい脈波センサICです。センサ部を脈波検出に最適化したことで大幅に感度を向上し、非常に低消費電力で小型な脈波センサシステムを実現できます。

光学式脈波センサのしくみ

光学式の脈波センサは、脈動による血管の容量変化を、LEDから照射された光の反射光の変化を測定することで、計測します。

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高感度を実現したセンサ構造

BH1790GLCは、脈波センサに特化した光学フィルタ構造と独自のアナログ回路技術により、脈波信号の高感度検出を実現しました。脈波検出に最適なGreen波長感度に合わせたフォトダイオードを使用し、受光部にはGreenフィルタ赤外線(IR)カットフィルタを組み合わせました。これにより赤外線の影響を従来品に比べ1/10以下に低減し、スポーツなどの激しい動きや屋外など赤外線が強い環境下でも、安定した脈拍数の取得が可能です。

【高感度検出のポイント】

  • ・脈波検出に最適な緑(Green)波長感度に合わせた
       フォトダイオードを使用
  • ・受光部に緑(Green)フィルタ採用
  • ・赤外線(IR)カットフィルタ搭載
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センサの高感度化による省電力化と小型化

BH1790GLCは、センサ高感度を向上させたことにより、LEDの輝度が低くても脈波を正確にセンスすることが可能です。これによって、LEDのドライブ電流(IF)を低減することができ、消費電力を従来比で約74%削減可能です。これは、業界トップクラスの低消費電力で、ウェアラブル機器のバッテリ稼働時間を延ばすことが可能です。以下は、競合他社の同等品との比較です。

BH1790GLC 競合A 競合B
動作時消費電流
(LED+IC)
0.74mA 0.86mA 1.5mA
スタンバイ電流 0.8μA 0.8μA 15μA
電源電圧範囲 2.5~3.6V 1.7~2.0V 3.0~3.6V
パッケージサイズ 2.8 x 2.8 x 0.9mm
(LED外付け)
2.8 x 5.6 x 1.2mm
(LED同梱)
3.6 x 6.36 x 1.0mm
(LED同梱)

また、LEDの輝度(=IF)を低く抑えられることは、LEDのVFも低く抑えることにつながります。これは、従来必要とされたLEDドライブ用の昇圧電源回路を不要にし、従来品に対し実装面積を30%削減することができます。

評価キットとサポート

BH1790GLCが簡単に評価できる、脈波センサモジュールBH1790GLC-EVK-001をインターネット販売しています。ロームのセンサシールドSensorShield-EVK-001と、Arduino Uno、mbedなどのオープンプラットフォームを利用して、すぐに評価を開始できます。BH1790GLC-EVK-001の詳細、データシート、マニュアル、サンプルコードなどのソフトウェアは、こちらからダウンロードおよび問い合わせができます。
 
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