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センサ評価キットがIoT機器のTime-to-Marketを加速センサメダル

2017.12.26

-それでは、「センサメダル」についてお聞きします。

センサメダルSensorMedal-EVK-001」は、加速度気圧地磁気角速度(ジャイロ)の4つのセンサと、電波法認証取得済みのBluetooth® low energy対応モジュール16bitローパワーマイコンを搭載した評価キットで、主にウェアラブル機器のプロトタイプ開発に使ってもらうことを想定したキットです。

最初に外観を見ていただこうと思います。

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センサメダルは2枚の基板で構成されています。電源はボタン電池でオンオフスイッチも実装しています。上側の基板にはBluetooth low energy対応モジュールを含む主要部品のほとんどが実装されており、実際のウェアラブル機器にちかいレベルの実装になっています。プロトタイプ開発用として、実使用を想定した評価ができ、お客様の開発工数を大幅に減らすことを目的にしています。また、もしお客様のアプリケーションがこの仕様でよければ、これをリファインすることで量産品にすることも可能だと思います。

構成は比較的シンプルで、機能ブロック図があるのでご覧ください。また、詳細な回路図も公開しています。

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-センサメダルの機能や電気的仕様について教えてください。

測定できるのは、加速度値(X、Y、Z軸)磁気値(X、Y、Z軸)角速度(X、Y、Z軸)気圧値です。これらのセンサデータを、Bluetooth low energy通信でスマートフォンやタブレットに送信し、提供アプリによってリアルタイムでのデータ確認とログが可能です。アプリは、Android用とiOS用を用意しています。

センサの設定は固定で、加速度センサはODR 200Hz、±4g、地磁気センサはシングル測定、12bit、4回平均、ジャイロセンサは250dps、気圧センサは連続測定(200ms間隔)、64回平均で温度データは4回に1回測定となっています。また、Bluetoothによるデータ送信間隔は150ms固定となっています。

搭載したセンサとBluetooth low energy対応モジュール、ローパワーマイコンの概略一覧をお持ちしましたので、個別デバイスの仕様を確認したい場合は、こちらを参照してください。

センサ

センサタイプ 品名 備考
加速度センサ KX022-1020 ・145μA(高解像度モード)、10μA(低消費モード)の消費電力
・最大16bitの解像度
・低消費なウェイクアップ機能内蔵
気圧センサ BM1383GLV ・ピエゾ抵抗式気圧センサ
・300hPa~1100hPaの気圧を検出可能
・温度補正機能内蔵
地磁気センサ BM1422GMV ・MI型3軸磁気センサ
・消費電流:150μA (Typ.)@100Hz
・磁気感度:0.042μT/LSB (Typ.)

Bluetooth low energy対応モジュール

品名 ホストCPU
インタフェース
対応規格 使用周波数帯 送信出力 受信感度 備考
MK71050-03 同期シリアル or UART BluetoothR
Core Spec v4.0
(Single mode)
2.4GHz ISM Band 0 / -6 / -12 / -18dBm -86dBm BluetoothR 認証、
国内電波法、FCC

ローパワーマイコン

品名 動作周波数 (Max.) 最小命令時間 消費電流
(Typ.@HALT)
ROM/RAM
低速クロック 高速クロック ROM
種別
ROM
容量
(Byte)
データFlash
容量
(Byte)
RAM
容量
(Byte)
ML620Q504H 32.768kHz
(内蔵RC発振、
水晶発振、外部入力)
16MHz
(内蔵RC発振、
水晶発振、外部入力)
62.5ns
(16MHz 動作時)
30.5μs
(32.768kHz 動作時)
0.45μA Flash 64K 2K 6K

-センサメダルの機能や仕様について大体理解できたと思いますが、実際にどんなアプリケーションに利用できますか?

アプリケーションとしては、モーションセンシングに関連することのほとんどに対応できると思います。その中の代表的なものと、それに使用するセンサをまとめた表があります。これらのアプリケーションに関しては、ファームウェアアルゴリズムを開発する必要がありますが、このセンサメダルのハードウェアで実現可能です。

移動、落下検知 加速度、気圧、角速度
金属探知 地磁気
高度測定 気圧
活動量計 加速度、気圧
電子コンパス 地磁気、気圧
筋力強度測定 加速度

また、アルゴリズム開発のためのデータ取得用としても利用できます。

-それでは、こちらもどうやって動かすのか教えてください。

センサメダルは、ロームセンサ評価キットのようにセンサ自体を評価するのではなく、一つのデバイスとして完成しているキットなので、動作させるのはさらに簡単です。Androidの方を例にとると、準備するものはセンサメダル、CR2450ボタン電池1個、Androidタブレット1台、そしてAndroid用アプリだけです。

あえて説明すると、最初にボタン電池を装着して、タブレットにロームのホームページからダウンロードしたアプリをインストールしたら、あとはアプリを起動するだけです。アプリの画面と機能はこちらをご覧ください。

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-本当に10分かからずに、動かすことができそうですね。資料やソフトウェアなど提供されるものについても同様に教えてください。

ロームセンサ評価キットと同様にマニュアルとソフトウェアが、ホームページのセンサメダルのページからダウンロードできます。また、使い方に関する動画も用意してありますので、ぜひご覧ください。

マニュアル ロームセンサメダルの使い方
ソフトウェア SensorMedal-EVK-001 Androidアプリ

-まとめというか確認なんですが、センサメダルは4つのセンサからのデータを、付属のソフトウェアによってスマホやタブレットにリアルタイム表示やログができて、開発者はそのデータを利用するためのファームウェアやアルゴリズムを開発することで、例えば、移動や落下検知、活動量計などのアプリケーションの開発ができるキットということで間違ってないでしょうか?

基本的にはその通りです。もちろん、他にも利用できることはたくさんあると思います。

-ところで、これらのキットの購入はどうしたらよいのでしょうか?

どなたでも、ネット商社から購入できます。数量も1個から購入できます。ホームページのそれぞれのページに商社へのリンクがありますので利用してください。

-それでは、最後にまとめてください。

インタビューの冒頭に話したことと重なるのですが、近年、すぐに使えるモジュールや簡単に評価ができるキットを利用する傾向がかなり強くなっていることは明白です。特にIoT市場には、従来の電子機器メーカーだけではなく様々な分野からの参入があり、従来の電子機器業界の常識だけではなく、あらたな視点を持った対応が求められています。これを踏まえて、今後もより簡単かつ迅速にお客様が開発を進めることができ、製品化までの時間を短縮できるツールやサポートを充実させたいと考えています。

-細かいことまでいろいろ教えていただきまして、ありがとうございました。

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