エンジニアに直接聞く
センサ評価キットがIoT機器のTime-to-Marketを加速:センサ評価用ツールの需要が高まる
2017.11.28
IoTを実現するうえで、モノや人の状態を検知するセンシングデバイスは必要不可欠であるのと同時に、IoT市場では迅速なTime-to-Marketが強く求められている。これに対してロームは、ロームグループのラピスセミコンダクタおよびKionixとともにセンサネットワークに向けたセンシングデバイスの開発を行いながら、センサ搭載機器の開発をサポートするソリューションとツールの提供によりユーザーニーズを促進している。今回は、ロームのセンシングデバイスとサポートツールについて、ローム株式会社 センサアプリケーション開発課 2G
百田 淳氏に話を聞いた。
-最初に、センサに対して市場はどんな動きなのか、近況を教えてください。
IoT、特にセンシングネットワークに接続する機器にはセンサが必須になります。そのせいか、センサに関する引き合いや技術的な質問は非常に増えています。その中には、弊社が今まで存じなかったお客様や、逆にロームを知らなかったお客様からのコンタクトが多く含まれています。これは、IoTのプレーヤーが、既知の電子機器メーカーの枠を超えた広いフィールドに存在することを示していると考えています。何となく想像はしていたのですが、実際にコンタクトをしてみると驚くことが多々あります。また、評価キットなどの開発サポートツールなどに関する問い合わせも増えています。センサは比較的、使い方や機能がシンプルなのですが、開発時間を短縮したいという要望が多く、「センサ評価キット」が好評を得ています。
-やはりIoTをキーワードに、様々なフィールドで動きが活発化しているのですね。それでは、最初にロームにはどのようなセンサがあるかをお聞かせいただいて、評価キットという話がでましたので、開発に関するサポートやツールについてお話を伺いたいと思います。
ロームでは、半導体やMEMSなどを使った様々なセンサを開発しています。モーションセンシング、ヘルスケアセンシング、フィールドセンシング、インフラストラクチャヘルスケアといった分野に向け、様々なアプリケーションに対応できるセンサを用意しています。主要な分野とセンサを必要とする機器、そして対応するセンサ/センシング技術をまとめた表がありますので、こちらをご覧いただければと思います。
また、センサベースで分類した表もあります。分類の仕方は様々だと思いますが、ロームでは、モーションセンサ、環境センサ、インタフェースの3つに大別しています。
モーションセンサ | 環境センサ | インタフェース | |
---|---|---|---|
ジャイロセンサ | カラーセンサ | ホールセンサ | 静電スイッチ |
加速度センサ | 温度センサ | 脈波センサ | タッチスクリーン |
地磁気センサ | 赤外線センサ | 照度センサ | 人感センサ |
気圧センサ |
-様々センサが、かなり広範囲のアプリケーションで使われる可能性がありますね。センサを使うIoT機器設計者は、この中から必要なセンサを選んで評価や設計を進めるわけですね。
基本的に手順自体は、IoT機器だからと言って他の機器設計と異なることはないと思います。ただプロセスに関しては、近年は評価ツールを利用することが増えていると思います。例えば産業機器などではセンサは基本となる部品の一つであり、設計者の方もセンサを使い慣れている場合が多いのに対し、IoTだけとは言いませんが、そういった背景がない場合は、モジュールやすぐに評価を開始できる評価キットは有用なツールなのだと思います。これは無線に関してはよく言われていることですが、センサに関してもその傾向はあります。もちろん、そういった状況があることが、センサ評価キットの拡充を図っている理由でもあります。
-個人的にはセンサと聞くと、微少電流や電圧を発生するセンサ素子レベルのものをイメージしてしまうのですが、近年は、センサ素子に加えてA/DコンバータやDSP、そしてデジタルインタフェースを搭載したデジタル制御でデジタル出力のものも多いと思います。ロームのラインアップはどうなんでしょうか?
モーションセンサのラインアップは、I2CシリアルインタフェースやSPI(Serial Peripheral Interface)を搭載したデジタル出力タイプになっています。環境センサでは、例えば温度センサはアナログ電圧出力ですが、照度センサはI2Cと、センサの種類や特徴によって異なっています。
-そうすると、微小なアナログ信号の処理やデジタル変換といった用意が必要だと、この辺りの扱いに不慣れな場合は評価キットがあると非常に助かると思います。
そうだとは思いますが、たとえアナログ信号の処理に慣れていたとしても、評価回路を作らなければならないのと、すぐに評価を開始できるのとでは大きな違いだと思います。正直なところセンシングはけっこう手間がかかりますが、重要な部分なので疎かにはできません。それが、すぐに評価を開始できるとなれば、どの設計者にもほとんどのケースで有用だと思います。
-わかりました。それでは、そのセンサ評価キットについて話を伺っていきます。
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