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工場のIoT化を促進するマシンヘルス Part 4

デモンストレーション:
タンクや配管の液面と水量監視

注目ワード
  • タンクや配管の液面と水量監視
  • Wi-SUN通信4-20mAアナログセンサ
  • 流量
  • テラヘルツセンサ
  • EnOcean電池レススイッチモジュール

-それでは、もう一つのデモの方を説明願います。

もう一つは、「タンクや配管の液面と水量監視」のデモです。先ほどの「ポンプ異常振動検出」のデモはすべてEnOcean電池レスセンサで構成されていましたが、こちらは、EnOcean電池レスセンサに加えて、Wi-SUN無線通信を利用するセンサが使われています。また、液面検出には、テラヘルツ波センシングを利用しています。

テラヘルツ波センシング

このデモでは、配管に取り付けたテラヘルツセンサが、配管内の液体の有無を検出します。そして、同じく配管に取り付けた水量センサが流量を測定し、無線で流量のデータを送信します。

メインとなるのは、「Wi-SUN通信4-20mAアナログセンサ」です。流量の測定には、4-20mA電流出力を備えた市販の流量計を使っています。その電流出力、つまり測定データをラピスセミコンダクタのマイコンボードLazurite Basicを使ってデジタル化し、ロームのWi-SUN対応無線通信モジュールBP35C0によって無線送信します。写真では、右側の基板がLazurate BasicとBP35C0、左側がセンサ部です。

-4-20mA電流信号は計装分野では標準的なもので、流量の他にも圧力など多くのセンサ出力に利用されていると思います。

おっしゃる通りです。このような構成にすることで、既存の様々な計装用センサを無線化することができます。今回はデモという性格上、Lazutite BasicというLazuriteの基本となるマイコンボードとWi-SUNモジュールを組み合わせて構成しましたが、LazuriteにはLazurite Sub-GHzLazurite 920Jといった無線機能を搭載したモデルもあります。Lazurite 920Jに至っては、32×24mmというSDカードサイズにまで小型化されています。もちろん、特定センサの量産型とするなら、さらにスマートにできます。また、Wi-SUNモジュールも、今回使用したBP35C0は面実装型で、アンテナは別途になりますが15×19mmと非常に小さく、機器の回路基板に実装することで様々な機器を簡単に無線化できます。

-電源についてはどうなってますか?

この例では、ブロック図にあるようにモバイルバッテリを利用しており、これで十分機能します。LazuriteもWi-SUN無線通信も非常に低消費電力であることが特長です。ご存じの通りLazuriteシリーズはArduino互換ですが、Lazurite Basicは動作時の消費電流をArduinoの約半分、待機時消費電流は1/10です。BP35C0に関しても、Wi-SUN無線通信が低消費電力を特長としており、もちろんハードウェアも低消費電力です。

-液面検出にはテラヘルツセンサを使われたということですが。

液面の検出には、ロームが開発中の、「テラヘルツセンサ」を使っています。テラヘルツセンサは、テラヘルツ波のプラスチックを透過する性質を利用して不透明な物質の内部透視、水によく吸収される性質を利用して液体検知が可能です。

ロームでは、室温駆動できる超小型テラヘルツ光源と検出器を開発しており、従来のテラヘルツ光源と比較して1/1000まで小型化、そして消費電力は1/3000に削減できる見込みです。今回は管内の液体の有無を検出することで液面センサとして利用しましたが、今後、様々な用途に利用できる可能性をもつセンサです。

あとは、付随するものとして、EnOcean電池レススイッチモジュールPTM210Jを利用しています。PTM210Jは、スイッチを押すという操作による電磁誘導で発電し操作があったことを無線送信します。呼び出しボタンやリモコンスイッチなど、様々な無線スイッチとして使います。

-先に説明いただいた、EnOcean無線通信、Wi-SUN無線通信の使い分けに関しては?

EnOcean無線通信とWi-SUN無線通信は、どちらもSub-GHz/特定小電力無線なので電波が遠くまで届くという特長がありますが、EnOceanはコンパクトで自由度が高い電池レスソリューションとして、Wi-SUNは工場内という環境下でさらに長距離で安定したソリューションとして今回のデモでは構成しました。

また、EnOceanは基本的にEnOceanが提供するセンサモジュールやスイッチモジュール、環境発電モジュール、無線通信モジュールをそのまま活用できます。Wi-SUNは様々な構成を作り上げることになります。

いずれにしても、目的に応じたセンサ、通信方式、そして場所や環境に応じた適性を検討することをお勧めします。

-マシンヘルスを考える上で、紹介いただいた2種類のデモは興味深いものでした。センシングを行うには、どうしても必要箇所にセンサを設置する必要があるのですが、センサノード自体がコンパクトで、電源やデータ伝送のケーブルが不要であれば、非常にシンプルかつ簡単にシステム構築ができることがわかりました。

最初にお話した通り、工業におけるIoTは、生産性や品質向上といった比較的わかりやすい目的があるため、具体化が進んでいると思います。マシンヘルスは基本的に、工場の見える化の一端で、工場内の機器や設備の状態や情報を細かく吸い上げて分析することにより、予防保全から予知保全への移行を推進するものです。そして、IoTの観点からは、取得した大量のデータには様々応用が期待できます。

ただ、機器や設備を常時監視するシステムが必要になり、その導入にはかなりのコストと時間がかかることが懸案になっているのもお話した通りです。しかしながら、今回行ったデモのように、EnOcean電池レスセンサやWi-SUN無線通信というソリューションが、導入コストと時間という課題を大きく軽減してくれるものと考えています。

-実際に、このデモのようなセンサノードやネットワークシステムを構築したい場合にはどうすればよいでしょうか?

まずは、ご相談いただければと思います。これはデモ機ですので、EnOceanのモジュールのようにそのまま使えるものもありますが、個別のもので組んであるセンサノードは実際の設置が難しい場合もあります。また、お客様の目的や使用環境によって様々な検討が必要です。ロームグループでは、それらに対応するハードウェア、ソフトウェア、センシング技術、ネットワーク技術などをもって、現実的なソリューションを提案できます。ロームは、マシンヘルス、工場のIoT化のパートナーとなるべく様々な用意をしていますので、ぜひお声をかけていただきたいと思います。

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