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無線に取り組む機器設計者のための基礎知識

Part 1:
無線通信の種類と分類を
考えてみる

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IoTを構成するための3要素である「センサ」、「マイコン」、そして「無線通信」。中でも、無線通信は、機器設計者に敬遠されがちと言っても異論は少ないであろう。物理現象としての理論や数々の定理や算式、通信の方法論、様々な規格、そして法律に至るまでの理解は、センサやマイコンのそれとはかなり異なるのは事実である。しかしながら、IoT機器開発には、どうしても避けて通ることができないアイテムであり、多くの機器設計者が無線通信の導入を課題としている。こういった状況を加味して、これから無線通信にかかわるためには、基礎としてどんなことを知っておく必要があるのか、ラピスセミコンダクタ株式会社 無線通信ソリューション開発ユニットの野田 光彦(のだ みつひこ)氏に話を伺った。

-最初に、このインタビューの主旨について説明させてください。市場がIoTへの意識を高める中、IoT機器設計に取り組み始めた技術者の中には、今まで扱ったことのない無線通信機能を、機器に導入しなければならないことが大きな課題になっているケースがあると聞きます。そんな機器設計者に対して、無線通信について最初に知っておくべきことを提供できたらと考えました。技術やビジネスに王道はないのは承知の上ですが、そのヒントが見いだせればありがたいです。

主旨はわかりましたが、なかなか難しい話ですね。数式の計算のように決まった解がある訳ではないので、主観もかなり混じると思いますが、考えられることでお答えしたいと思います。

テーマとしては、「無線通信のための基礎知識」のような話になりそうですが、前提として、例えば電磁波の教科書的なことは基本的に割愛させてください。機器設計者は基本的に電気/電子の技術者だと思いますので、下地がある前提で説明します。また、無線と一口に言っても多種多様です。今回はIoTがキーワードの一つだと思いますので、IoTを意識した話をしたいと思いますが、いかがですか?

-意図するテーマです。よろしくお願いします。最初にお伺いしたいのは、冒頭で「無線の導入が課題になっている」と言い切ってしまいましたが、どのようにお考えですか?

確かに、無線にかかわっていない機器設計者が、いきなり無線を導入するのはかなりハードルが高いと思います。無線は電気電子の分野ではありますが、エンジニアの中でも何か特別な分野のように扱われていると思います。実際のところ、高周波の技術をもち無線設計ができるエンジニアの数は決して多くはありません。また、様々な無線規格があり、電波法に基づく認証取得もありますので、なじみがない人には、かなり大変な作業であることは間違いありません。

-確かにそんな印象です。技術的な知識はもちろんだと思いますが、何か理由を説明できない手加減さじ加減のような特殊な部分があるように思えます。あと、使う言葉も聞きなれないものが多いと思います。

実際、高周波設計には経験によるところがそれなりにあります。ただ、昨今は無線通信規格に合わせた高周波回路を含んだ無線通信用LSIやモジュールがありますので、一からではなく、もう少し後の段階、もしくは使う段階からアプローチできるので、そんなに構えなくても大丈夫です。とは言いながら、それでも最低限知っておくべきことがありますので、それらについてお話ししましょう。

-それでは、最初にどんなことから入って行けばよいですか?

まず、無線の分類についてお話しします。なぜ分類からかと言うと、どんな種類の無線があるのかを体系的に知ることはスタートラインだと考えるからです。

無線を使用した機器の種類は、放送系近距離系に大別して考えるとわかりやすいと思います。ここでは、放送系を、放送局(基地局)からの「一斉報知」で「片方向通信」という括りで分類します。

また、無線機器には免許が必要なものと不要なものがあります。空中線電力の大きさにより要/不要が決まります。当然、空中線電力の大きいものは免許が必要となります。空中線電力は、送出電力と近似と考えてかまいません。

イメージができるよう、身近にある無線システムの無線周波数と通信距離をマッピングした図がありますのでご覧ください。

無線システムの通信距離と無線周波数

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放送系の無線システム、わかりやすいところではラジオやテレビですが、総じて通信距離が長くなっていることがわかると思います。これは、放送局(基地局)からの送出電力が大きいことを意味しています。従って、これらの無線システムは免許を必要とします。

しかし、これらシステムは、放送局(基地局)からの片方向通信であるため、この無線の受信者、テレビで言うと視聴者は免許をもつ必要はありません。もちろん、放送局側は免許が必要です。

一つの考え方として、免許の要/不要でも無線システムを分類することができると思います。日本国内で、免許が不要な無線局を表にまとめてみました。

日本国内で免許不要の無線局

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ちなみに、「無線局」と言う言葉がでてきましたが、無線になじみのない人は、放送局のような何か大掛かりな設備と建物を想像してしまうかも知れません。無線局は、電波法で「無線設備及び無線設備の操作を行う者の総体を言う。ただし、受信のみを目的とするものを含まない。」と定義されています。個人宅でアマチュア無線をやっていれば、ほんの部屋の片隅でも、そこは「無線局」になります。

-ところで、一番身近な携帯電話はどれに分類されますか? 基本的に「一斉報知」でも「片方向通信」でもないので近距離系になるのでしょうか? ただ、免許はないはずなのに、「免許不要の無線局」の表には入っていないようです。

携帯電話は最も普及している無線システムなのに、一番に話をしなかったのにはちょっと訳があります。とりあえず、携帯電話について、最初に示した条件で分類してみましょう。ご存じの通り、携帯電話システムは「双方向通信」です。このことからは、近距離系に分類されます。しかし、携帯電話システムは、免許が必要な無線システムなんです。

-免許が要るのですか? 購入時に書類や手続きがいろいろありましたが、免許はもらってないはずです。

実は、携帯電話キャリア(NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイルなど)が、通信事業者として免許を取得しており、端末使用者は個々に免許を取る必要がないのです。ところが、アマチュア無線は携帯電話と同じくらいの通信距離で双方向通信ですが、個々に無線従事者免許を取得する必要があります。携帯電話システムには矛盾があるというか、最初にお話した分類条件では、うまく分類できないシステムなんです。この話を最初にもってくるとややこしくなるので、先に分類しやすいものの話をさせてもらいました。

-わかりました。無線には、「放送系」と「近距離系」があって、また、「免許が必要」なものと「不要」なものという観点でも分類することができるということですね。携帯電話やスマホはさておいて、ですね。

その通りです。ところで、先ほどの「免許不要の無線局」の表を見て、何か気づいたことはありませんか?

-あらためてよく見ると、昨今は一般の人でも当たり前になりつつある無線LANやBluetoothがあるのと、これはちょっと技術系の人だけかも知れませんが、スマートメータで話題になった900MHz帯の特定小電力無線が含まれています。他はかなり用途が限られた無線だと思います。

そうですね。近年、目にする無線機器は、携帯電話を除くと、その表にある近距離系のものがかなり多い状況にあります。これは、IoTにも関連しています。ここからは、近距離系の無線システムについて話をしたいと思います。

無線に取り組む機器設計者のための基礎知識 Part2

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