EnOcean|基礎編

スイッチ用発電モジュール : ECO 200

2017.01.31

この記事のポイント

・ECO 200は電磁誘導を利用して発電を行うスイッチ用の発電モジュール。

・スイッチモジュールPTM 210Jには、このECO 200が内蔵されている。

・ECO 200のInstallation GuideがEnOceanのサイトからダウンロード提供されている。

前回取り上げたスイッチモジュール:PTM 210Jに続いて、今回はスイッチ用発電モジュール:ECO 200について説明します。

スイッチ用電磁誘導発電モジュール:ECO 200

ECO 200は、電磁誘導を利用して発電を行うスイッチ用の発電モジュールです。スイッチを押すという動作(直線運動)を電気エネルギーに変換し、無線送信モジュールやセンサモジュールのエネルギー源として使用します。また、前回説明したスイッチモジュール:PTM 210Jには、このECO 200が内蔵されています。

ECO 200の構造と部品構成を以下に示します。29.3×19.5×7.0mmを小型でありながら、無線通信に必要な電力が得られる発電モジュールとなっています。

ECO 200の構造と部品構成

ECO 200の発電原理は、ファラデーの電磁誘導の法則そのものです。上の写真では左手前の板状の突起、図では②のリーフスプリング(レバー)を上下に切り替えると、右の図に示すようにコイル内の磁束の向きが変化して、コイルに起電力が発生します。

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リーフスプリングを上下に切り替える動作ごとに、無線送信を行うのに十分なエネルギーを出力します。下の波形図は、ECO 200の出力波形で、リーフスプリングを切り替えると瞬間的に電圧パルスが発生します。(無負荷、プローブ:3.9pF/1GHz)

ECO 200の発電原理

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この出力電圧パルスそのものでは、後段のICなどの電源としては使えないので、右上の図が示すように出力を整流して使います。このような整流回路の例では、2V出力換算で約120~210μJのエネルギーが生成されます。

様々なスイッチに対応

ECO 200は、1/2/4点タイプのスイッチやフットスイッチ、4ボタン型の携帯リモコン、キーカードスイッチ、ドアハンドルの他、バス降車ボタンや工業用リミットスイッチなど様々なスイッチで使われており、ビルや産業機器オートメーションなどの小型スイッチやセンサに応用されています。

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確認事項とサポート

ECO200の使用に関しては、EnOcean GmbHが保有する特許保護に基づく注意事項があります。

特許保護: EP 1389358, US 7391135, US2006/0091984 A1(pending)

ECO 200はEnOcean GmbHが製造する無線モジュール用に設計された発電モジュールです。ECO 200とエネルギーハーベストを使った無線通信の組合せはEnOceanの国際特許により保護されています。ECO 200の購入はEnOceanのいかなる知的財産へのライセンスを含むものではありません。PTM 330、PTM 330C、PTM 330U、またはPTM 430Jを送信モジュールとして使われる場合のみ、ECO 200エネルギーハーベスティング無線スイッチまたはセンサと連携して使用することが許可されます。それ以外の場合はEnOceanより書面による承認が必要となります。

ECO 200を使用する際には、この内容をよく確認してください。

ECO 200の寸法ならびに操作に関する条件については、“Installation Guide”が提供されています。また、ECO 200を用いた筐体の設計のために、EnOcean GmbHから3次元CADデータ(.igsフォーマット)も参考データとして提供されていますので、試作、設計に活用してください。

ECO 200に関する情報の入手先(リンク先から資料をダウンロード可能)

EnOcean製品特設サイト:ECO 200

・EnOcean GmbH

    > ECO 200 Installation Guide

    >データシート

次回は、無線送信モジュールを予定しています。

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ローム主催セミナーの配布資料です。 エナジーハーベストによる電池不要の無線通信とセンサソリューションを提供するEnOceanに関する基本情報と基礎知識、スイッチモジュールおよびセンサモジュール製品群の説明です。

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