EnOcean|基礎編

EnOcean無線通信技術

2016.07.25

この記事のポイント

・EnOceanはエネルギーハーベスティングと低消費無線通信技術を組み合わせた無線センサソリューション。

・ビルオートメーションやIoTで、電源不要のセンサモジュールとして多種多様なアプリケーションが考えられる。

Tech Web IoTの「基礎知識」では、エネルギーハーベスティングと低消費無線通信技術を組み合わせた「EnOcean」の無線センサソリューションについて解説して行きます。

EnOceanは、いち早くエネルギーハーベスティングを応用した機器を実用化したことで、すでに広く普及していますが、スターティングポイントとして最初にEnOceanのセンサソリューションをイメージしていただきたいと思います。

下の図は、EnOceanのスイッチモジュールを例にしたコンセプトイメージです。

EnOcean

この例では、スイッチを押すなど動かすことで発電し、その電力を利用して、スイッチを押したという情報を無線通信により送信します。受け手は、その情報を基に、例えば照明を点灯したり消灯したりといった制御を行うことができます。

この例でのメリットを少し考えてみましょう。照明の点灯/消灯のためにはスイッチを利用します。近年はリモコン式もありますが、基本的に主電源スイッチはあるはずです。そして、スイッチと照明は電線でつながっている必要があります。一般住宅であれば、壁の内側に主電源からスイッチを経由して照明器具までの電線が這い回っています。

それに対して、上記のEnOceanのモジュールは直接主電源をオン/オフするわけではないので、スイッチまで電線を配線する必要がありません。そういった意味で、電波が届く範囲であればどこにでも設置でき、設置も簡単です。

また、電波や赤外線などを利用したスイッチに直接電線を配線しない(線がない)スイッチシステムは他にもありますが、電池やAC電源を必要とします。それに対してEnOceanのスイッチモジュールは発電するので、電源が不要です。電池を利用したシステムはイメージ的には近いのですが、電池交換というメンテナンスが必要になります。

つまり設置場所の自由度が高く設置が簡単で、電源が不要でメンテナンスも不要になることから、非常にコスト効果が高いソリューションであることは想像に容易いと思います。これはスイッチの例で、ほんの一例ですが、他にも温度差や太陽光からの発電、そして様々なセンシングが可能です。

もう一つ大事なことがあります。無線送信されたデータは、そのまま電子データとして、例えばビルのインテリジェント化に利用できるということです。

ここでは、この様なメリットをもたらすEnOceanの技術とモジュールについて以下のような項目に分けて説明して行く予定です。

  • 1. EnOcean無線通信技術
  • 2. 電池不要の無線モジュール
  • 3. ソフトウェア
  • 4. 開発事例

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