Sub-GHz無線|基礎編
通信フォーマット:データリンク層(MAC層)のフレームとは
2018.09.11
この記事のポイント
・データリンク層(MAC層)では、直接つながった機器とのやり取りに関するルールが定められている。
前回説明した物理層の次層となるデータリンク層(MAC層)のフレームについてです。ちなみにMACはMedium Access Controlの略です。
データリンク層(MAC層)のフレームとは
データリンク層では、直接つながった機器とのやり取りに関するルールが定められています。アドレスを指定して電波が直接届く範囲(1ホップ)内で相手にデータを送ります。以下は、よく使われるアドレスです。
- IEEEアドレス:無線端末の唯一無二のアドレス。このアドレスだけで、端末を特定することが可能。
- PAN ID:ネットワーク(PAN:Personal Area Network)を識別するID
- ショートアドレス:PAN内でユニークになるように動的に割り当てるアドレス。PAN IDと組み合わせて指定する。
IEEE 802.15.4の例を示します。
PAN IDは無線特有の概念で、ネットワークの区別に利用します。有線ネットワークの場合は、物理的な結線でネットワークを区別することができますが、無線の場合は、PAN IDにより同じPAN IDを持つ端末同士だけが通信できます。MACフレームにPAN IDを付けて、自分のPAN IDのパケットのみを受信します。
また、ブロードキャスト用のアドレスを決めておくと、ブロードキャスト通信が可能になります。キャストには3種類あります。
- ユニキャスト:受信相手を一意に特定する1対1通信。
- PAN内のブロードキャスト:指定したPANに属するデバイス全体に一斉に通知。
- 全デバイスへのブロードキャスト:無線が届く範囲全体に一斉に通知。
物理層(PHY層)とデータリンク層(MAC層)の実際例
前回説明した物理層(PHY層)と、今回のデータリンク層(MAC層)のフレームをIEEE802.15.4/IEEE802.15.4eの実際例で示します。IEEE802.15.4eは、ベースとなるIEEE802.15.4-2011に対して、情報要素(IE:Information Element)フィールドが追加されています。
次回は、ネットワーク層のフレームの説明を予定しています。
【資料ダウンロード】Sub-GHz無線開発基礎
Sub-GHz無線はM2MやIoT、ワイヤレスセンサネットワークなどの新市場をはじめ、幅広い分野での活用が検討されています。このハンドブックは、Sub-GHz無線の活用から機器開発の基礎までを解説しています。
Sub-GHz無線
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基礎編
- Sub-GHz無線の概要
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Sub-GHz無線開発の基礎知識
- 無線特性の用語:搬送波周波数と周波数精度
- 無線特性の用語:送信パワーと隣接チャネル漏洩電力
- 無線特性の用語:占有帯域幅
- 無線特性の用語:スプリアス
- 無線特性の用語:受信感度と選択度
- 無線特性の用語:ブロッキングとスプリアス応答
- 無線特性の用語 : まとめ
- 無線設計ガイダンス:設計の手順
- 無線設計ガイダンス:無線方式の選択
- 無線設計ガイダンス:無線デバイスの選択
- 無線設計ガイダンス:ネットワークトポロジーの検討
- 無線設計ガイダンス:無線デバイスの仕様および動作確認
- 無線設計ガイダンス:ハードウェアの検討
- 無線設計ガイダンス:ソフトウェアの検討
- 無線設計ガイダンス:評価の検討
- 無線設計ガイダンス : まとめ
- 無線設計のポイント:回路設計
- 無線設計のポイント:基板(PCB)設計
- 無線設計のポイント:調整、測定時
- 無線設計のポイント:調整、測定時-VCOの調整
- 無線設計のポイント:調整、測定時-マッチング調整
- 無線設計のポイント:調整、測定時-スプリアス調整、その他の調整
- 通信フォーマット:通信レイヤとは
- 通信フォーマット:物理層(PHY層)のフレームとは
- 通信フォーマット:データリンク層(MAC層)のフレームとは
- 通信フォーマット:ネットワーク層とアドホックネットワーク
- 干渉回避の手法:キャリアセンス
- 無線システム検討へのヒント
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Sub-GHz無線の概要 ーまとめー
- 製品紹介