Sub-GHz無線|基礎編

通信フォーマット:物理層(PHY層)のフレームとは

2018.08.28

この記事のポイント

・物理層の無線パケットは、プリアンブル信号、同期ワード(SFD)、ヘッダ、データペイロード、FCSで構成されている。

・実データにより、物理層でパケットの終端を検出しデータの正しさを確認する。

通信フレームとはデータ通信における送信データの1単位であり、1フレームは1つ以上のパケットを含んでいることを、前回、概略として説明しました。続いて各フレームの構造などについて説明していきます。今回は、最下層の物理層についてです。

物理層(PHY層)のフレームとは

この図は、前回示したTCP/UDP/IPの通信フレームの例です。この中の物理層(PHY層)のフレームについて説明します。

TCP/UDP/IP通信フレーム例

物理層のフレームは以下のような構造になっています。

物理層のフレーム構造

物理層は通信レイヤの玄関口です。無線パケットは、プリアンブル信号と同期ワードから始まり、ヘッダ、データペイロードが続き、FCSで終わります。以下、データ処理の流れ順に説明をしていきます。

図は、プリアンブルと同期ワードの詳細です。実データとはヘッダ以降のデータを意味しています。

無線パケットのプリアンブル信号と同期ワード

無線パケットの最初はプリアンブル信号で、1-0-1-0-1-0と続く交番信号になります。これは、クロック同期用のパターンで、受信側は無線パケットの先頭のプリアンブル信号を使って、受信クロックの頭出し(ビット同期)を行います。

同期ワードは、プリアンブル信号と後続の実データの間に入れるデータパターンで、x09、0x72など送信側と受信側で一意に決めるデータです。SFD(Start of Frame Delimiter:フレーム開始デリミタ)とも呼ばれます。受信側では、あらかじめ決められた同期ワードを見つけると、以降のデータの受信を開始します。

そして、最初の図にあるように物理層(PHY)ヘッダ、物理層データペイロードと続き、FCS(Frame Check Sequence)で終わります。物理層ヘッダにはデータの転送先や転送経路などを制御するための情報が格納されており、パケット長以外にもFCS長表示、ホワイトニング有無、誤り訂正符号化の有無などの様々な情報が含まれています。ペイロードは、パケットに含まれるデータ本体です。

これらにより、物理層でパケットの終端を検出しデータの正しさを確認します。パケットの終端はヘッダに含まれるパケット長で検出し、FCSでデータの正しさを確認します。具体的には、受信器は受信データから算出したCRC(Cyclic Redundancy Check)値と、ペイロードの最後に付加されたFCSフィールドの値を比較することで、データ損失や誤りがないことを確認します。

次回は、データリンク層(MAC層)のフレームの説明を予定しています。

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