Sub-GHz無線|基礎編

無線設計のポイント:調整、測定時-スプリアス調整、その他の調整

2018.06.12

この記事のポイント

・LSIから送信時に放射されるスプリアスは、標準規格を満足するようにフィルタ等で減衰させる必要がある。

・フィルタにはトラップフィルタやローパスフィルタを利用する。

・その他の調整として、送信パワーおよびRSSI、発振回路、ループフィルタの調整が必要。

前回に続いて「調整、測定時のポイント」の補足として、スプリアス調整とその他の調整について説明します。

無線設計のポイント:調整、測定時-スプリアス調整

LSIから送信時に放射されるスプリアス(高次高調波)は、標準規格や当該国の電波法を満足するようにフィルタ等でレベルを落とす必要があります。以下に、回路図における調整部分を示します。

Sub-GHz無線通信LSI、ML7345のアプリケーション回路例およびスプリアス調整回路部分

レベルを下げるべきスプリアスが、1波の場合はトラップフィルタ、2波以上の場合はローパスフィルタ(LPF)などの回路を挿入します。上記のリファレンス回路では、トラップフィルタとローパスフィルタを使用しています。

図はトラップフィルタの例です。スプリアスを下げるには、スプリアスの周波数が減衰するようにLとCを選択します。

LとCが直列につながっているラインのインピーダンスは以下の式で求められます。

式から、ω2LC=1の時にインピーダンスはゼロになります。

ω=2πfを代入して周波数(f)について解くと、

送信時スプリアス減衰に使うトラップフィルタの例

このfの周波数信号にはインピーダンスがゼロに見えるため、fの成分はGNDに流れていきます。したがって、下げるべきスプリアス周波数とこのfが一致するようにLとCを選びます。

以下に、スプリアスに対するフィルタの効果を示します。適正なフィルタを入れることで、スプリアスが抑制されているのがわかります。

スプリアスに対するフィルタの効果

無線設計のポイント:調整、測定時-その他の調整

その他の調整として、送信パワーおよびRSSI(受信信号強度)、発振回路、ループフィルタの調整があります。

送信パワーおよびRSSIの調整は、各個体のバラつきの調整となります。発振回路は必要な精度と安定度が基板実装状態において得られているか確認が必要です。ループフィルタは基本的に指定のものを使っていれば大丈夫です。以下、回路図に対象部分とポイントを示します。

Sub-GHz無線通信LSI、ML7345のアプリケーション回路例およびその他の調整部分

これで、調整、測定時のポイントの補足は終了です。次回からは通信フォーマットに関する新章に入ります。

【資料ダウンロード】Sub-GHz無線開発基礎

Sub-GHz無線はM2MやIoT、ワイヤレスセンサネットワークなどの新市場をはじめ、幅広い分野での活用が検討されています。このハンドブックは、Sub-GHz無線の活用から機器開発の基礎までを解説しています。

無線設計のポイント:調整、測定時-スプリアス調整、その他の調整

Sub-GHz無線

Sub-GHz無線開発基礎