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Sub-GHz無線

Sub-GHz無線開発の基礎知識

無線設計ガイダンス:無線デバイスの仕様および動作確認

この「無線設計ガイダンス」は、無線設計の経験があまりない、もしくは初めてという人が無線設計を始めるためのものです。ここでは、一例として、近年のIoTの1つである、ビルの空調に通信ネットワークを導入して、快適かつ省エネな空調システムを構築することをイメージしながら、以下の手順で、各々においてどの様なことをするのかを解説して行きます。

  • ① 無線方式の選択
  • ② 無線デバイスの選択/仕様確認/動作確認
  • ③ ネットワークトポロジーの検討
  • ④ ハードウェアの検討
  • ⑤ ソフトウェアの検討
  • ⑥ 評価の検討

今回は②無線デバイスの選択/仕様確認/動作確認の2つ目と3つ目にあたる、無線デバイスの仕様確認と動作確認についてです。

②-2 無線デバイスの仕様確認

前回の「無線デバイスの選択」では、Wi-SUN対応Sub-GHz無線モジュールを利用することを決定しました。次はどのモジュールを利用するかを決めるわけですが、そのために最初にすることはモジュールの仕様を比較することです。これは、モジュールにかかわらず、ICなどの部品選定でも同じだと思います。

ここですべきことを「仕様確認」と簡単に言いましたが、実際には単にサイズや性能だけではなく、サポートや入手性、そして採用実績なども含めた様々な角度から検討することが重要です。参考までに確認すべき仕様とチェックポイントの例をまとめました。

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この様なことを念頭に置きながら、実際の概要や仕様を見てみましょう。3種類のSub-GHz無線モジュールの例を示します。最初は、各モジュールの製品紹介から抜粋した概要や特長です。

BP35A1

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BP35C0

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BP35C2

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Wi-SUNに対応可能な920MHz帯特定小電力無線モジュールです。32bitのハイパワーマイコンを内蔵することで、様々なHEMS機器に搭載が可能になります。HEMSに最適なWi-SUN対応ファームウェアと、国内電波法認証も取得済みのため、お客様にとって非常に使いやすいモジュールとなっており、評価ボードも用意しています。

搭載している無線通信LSIのML7396Bが、Wi-SUNアライアンスのPHY認証試験合格第1号となりました。モジュールP35A1は、Wi-SUN For ECHONET Profileの認証を取得しています。

さらに、ML7396BとBP35A1は、ともにWi-SUNアライアンスのCTBU(Certified Test Bed Unit)にも認定され、Wi-SUNアライアンスのリファレンスとして登録されており、Wi-SUNの業界標準機として認知されています。

面実装小型Wi-SUNモジュール New

業界トップクラスの受信感度を持つ920MHz帯無線通信機能(RF)とマイコン、Wi-SUNに最適な大容量メモリを内蔵するラピスセミコンダクタ製無線通信LSI「ML7416N」を搭載した、アンテナ外付けの小型面実装Wi-SUNモジュールです。

Wi-SUN ProfileのBルートとHANに対応し、業界最小クラスの15mm×19mmサイズを実現しているため、HEMSコントローラーや各種家電への採用に最適です。もちろん日本の電波法認証取得済みの製品となっています。

評価用基板に実装した「BP35C0-T01」をネット商社から購入いただき、すぐに評価を行うことができます。

Wi-SUN USBドングル New

面実装小型Wi-SUNモジュールBP35C0を搭載したUSBドングルタイプの製品です。アンテナを内蔵して、無線パワー調整済み、日本の電波法認証取得済みのため、ホームゲートウェイなどIoT機器のUSB端子にそのまま後付けすることで、簡単にWi-SUN環境を構築することができます。

続いて、主要な仕様の一覧です。

品番

BP35A1

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BP35C0

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BP35C2

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準拠仕様 ARIB STD-T108 / Wi-SUN(Bルート、HAN)
アンテナ あり なし あり
コネクタ ボードtoボード SMD(面実装) USB
RF ML7396B(Lapis) ML7416(Lapis)
HOST I/F UART USB(USB 2.0準拠)
周波数 922.5 ~ 927.9MHz
変調方式 2値GFSK
変調速度 100kbps
送信パワー 20mW(13dBm)
受信感度 -103dBm(100kbps, BER<0.1%)
電源電圧 2.7V~3.6V 2.6V~3.6V 4.5V~5.0V~5.5V
消費電流
(TYP)
46mA [送信20mW]
30mA [受信]
9μA [スリープ]
45mA [送信20mW]
25mA [受信]
4μA [スリープ]
48mA [送信20mW]
30mA [受信]
6mA [スリープ]
動作温度(℃) -20 ~ +80 -30 ~ +85 -20 ~ +50
サイズ(mm) 33.5×22.0×3.9 15.0×19.0×3.0 21.4×49.7×8.5

いずれのモジュールも、日本の電波法認証取得済みで、ファームウェアなども搭載しており、評価ボードなども用意があって購入も容易なことがわかります。BP35C0とBP35C2は新製品で、BP35A1は実績が高いことがわかります。

仕様面では、ホストインタフェースが2種類あり、この例での使用を考えるとUARTが標準的です。また、評価という観点からは、ボード接続で済むBP35A1が扱いやすそうで、アンテナも付いています。実際は面実装のBP35C0にも評価ボードが用意されていますので、この辺りは量産でどちらのモジュールが使いやすいかなども検討材料になるでしょう。以下に、この2機種の評価ボードを示します。

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この例では、業界標準機として知られているBP35C0を使うことにします。以下にBP35C0に関する追加情報
を示します。

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さて、これで無線デバイスの仕様確認が終わり、使うモジュールも決まりました。そして早速、ネット商社からモジュールと評価ボードを購入したとします。

②-3 無線デバイスの動作確認

評価ボードは、すぐに動作させることができることがポイントになっています。BP35C0のWi-SUN通信を実現するために必要な情報と資料、ソフトウェアなどは、すべてホームページ上からダウンロードできるようになっています。どの様なものが提供されているかは、「ROHM Sub-GHzシリーズサポートページ」に行って確認してみてください。

必要なものが揃ったとして、まず動かしてみるには、サポートページの「スタートガイド」を利用するのに便利です。スタートガイドにはこの様な内容が盛り込まれていますので、これに沿ってセットアップを行えば、簡単に動かすことができます。

この様に2つのセットアップを利用して、通信ができているか、距離や位置を変えて通信がどうなるかなど、いろいろな評価をすることができます。

経験上から言いますと、無線に携わる第一歩として、まず実物を動かしてみるというアプローチは重要だと思います。

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次回は、「③ネットワークトポロジーの検討」を予定しています。

キーポイント:

・仕様確認は、単にサイズや性能だけではなく、サポートや入手性、そして採用実績なども含めた様々な角度から検討することが重要。

・評価ボードとソフトウェアの提供があると、評価を迅速に開始できる。

・まず動かしてみることも重要。


無線通信の基礎