Sub-GHz無線|基礎編
無線設計ガイダンス:無線方式の選択
2017.05.16
この記事のポイント
・無線ビギナーが無線設計を始める場合、最初に検討し決定すべきは無線方式である。
・実現したいことを「5W1H」で考え整理する。
・どの様な無線方式があり、それらの仕様、特徴を調べて、5Wを実現できる無線方式を選択する。
この「無線設計ガイダンス」は、無線設計の経験があまりない、もしくは初めてという人が無線設計を始めるためのものです。ここでは、一例として、近年のIoTの1つである、ビルの空調に通信ネットワークを導入して、快適かつ省エネな空調システムを構築することをイメージしながら、以下の手順で、各々においてどの様なことをするのかを解説して行きます。
- ① 無線方式の選択
- ② 無線デバイスの選択/仕様確認/動作確認
- ③ ネットワークトポロジーの検討
- ④ ハードウェアの検討
- ⑤ ソフトウェアの検討
- ⑥ 評価の検討
今回は、最初に行うべきこと、「①無線方式の選択」です。
①無線方式の選択
無線ビギナーが無線設計を始める場合、最初に検討し決定すべきは無線方式です。もちろんそれには達成したいことが決まっており、どの様な無線方式があるのかを知っている必要があります。
まず、実現したいことを「5W1H」で考え整理します。言うまでもないと思いますが、5W1Hは、when(いつ)、where(どこで)、who(誰が)、what(何を)、why(なぜ)、how(どのように)という6つの要素からなります。
ビルの空調に通信ネットワークを導入する
- いつ ⇒ 1分ごとに
- どこで ⇒ ビル内で
- 誰が ⇒ センサノードが
- 何を ⇒ 温度情報を取得
- なぜ ⇒ 自動制御するために
- どのように ⇒ 無線通信ネットワークを使って
この5Wを無線ネットワークを使って実現するために、無線通信に関する具体的な検討事項は以下になります。
通信頻度、消費電力、通信環境、通信距離、通信相手、通信プロトコル、スループット
しかしながら、どの様な無線方式があり、どの様な仕様で、どの様な特徴があるのかは、各種無線方式を調べるほかはありません。以下は、主要な無線のデータレートと通信距離のカバレッジを示しています。
また、下記は無線方式とその無線方式のアプリケーション例のイメージです。
さらに、各無線方式の仕様や特徴をまとめた表を示します。
先に示した2つの情報とこの表から、今回の空調システムに利用するには、どの無線方式がフィットするか考えてみます。
青色の文字は、この設計の要求事項に合致するものであることを意味しています。例えば、消費電流は数十mAで抑えたいので、300mAを要するWi-Fi方式は除きます。また、通信距離は、ビル内とはいえそれなりの距離があり障害物も多いことから、なるべく長い方が望ましいのでSub-GHz無線が有望です。
このように、実現したいことを整理して、無線方式の仕様や特徴と照らし合わせ、無線方式を選択することになります。今回の例の無線方式としては、Sub-GHz無線を選択します。
【資料ダウンロード】Sub-GHz無線開発基礎
Sub-GHz無線はM2MやIoT、ワイヤレスセンサネットワークなどの新市場をはじめ、幅広い分野での活用が検討されています。このハンドブックは、Sub-GHz無線の活用から機器開発の基礎までを解説しています。
Sub-GHz無線
-
基礎編
- Sub-GHz無線の概要
-
Sub-GHz無線開発の基礎知識
- 無線特性の用語:搬送波周波数と周波数精度
- 無線特性の用語:送信パワーと隣接チャネル漏洩電力
- 無線特性の用語:占有帯域幅
- 無線特性の用語:スプリアス
- 無線特性の用語:受信感度と選択度
- 無線特性の用語:ブロッキングとスプリアス応答
- 無線特性の用語 : まとめ
- 無線設計ガイダンス:設計の手順
- 無線設計ガイダンス:無線方式の選択
- 無線設計ガイダンス:無線デバイスの選択
- 無線設計ガイダンス:ネットワークトポロジーの検討
- 無線設計ガイダンス:無線デバイスの仕様および動作確認
- 無線設計ガイダンス:ハードウェアの検討
- 無線設計ガイダンス:ソフトウェアの検討
- 無線設計ガイダンス:評価の検討
- 無線設計ガイダンス : まとめ
- 無線設計のポイント:回路設計
- 無線設計のポイント:基板(PCB)設計
- 無線設計のポイント:調整、測定時
- 無線設計のポイント:調整、測定時-VCOの調整
- 無線設計のポイント:調整、測定時-マッチング調整
- 無線設計のポイント:調整、測定時-スプリアス調整、その他の調整
- 通信フォーマット:通信レイヤとは
- 通信フォーマット:物理層(PHY層)のフレームとは
- 通信フォーマット:データリンク層(MAC層)のフレームとは
- 通信フォーマット:ネットワーク層とアドホックネットワーク
- 干渉回避の手法:キャリアセンス
- 無線システム検討へのヒント
-
Sub-GHz無線の概要 ーまとめー
- 製品紹介