IoT技術情報サイト

Sub-GHz無線

Sub-GHz無線開発の基礎知識

無線特性の用語:送信パワーと隣接チャネル漏洩電力

「Sub-GHz無線開発の基礎知識」の「無線特性の用語」第2回目です。今回は、「送信パワーと隣接チャネル漏洩電力」についてです。この章は、ビギナーの基礎として、用語の意味を理解することを意図しています。

送信パワー(Tx Power)

送信機が空中線(アンテナ)に供給する電波の強さです。単位はmWまたはdBmです。

前に説明しましたが、念のため、1mW=0 dBmです。また、「送信電力」と言う言葉も使われていますが、同じ意味です。送信パワーは、全帯域総和電力で定義される場合と、決められた帯域幅(チャネル帯域)で定義されて場合があるので確認が必要です。

隣接チャネル漏洩電力 (ACP:Adjacent Channel leakage Power)

隣に位置するチャネル帯域に放射される/漏れ出す電力を、隣接チャネル漏洩電力と呼びます。ACPはゼロがベストですが、実際はそうはならないので最大値などがデータシートで示されています。単位は絶対値なのでdBmです。

隣接チャネルは、+側と-側の2つ、つまり両隣に存在しますが、ACPは同じ値になることはありません。データシート上では+側と-側に分けて記載されている場合もありますが、普通は、2つのうち大きい方の値のみを記し、どちらの側かは別にして最大のACPが示されていることが多いです。

隣接チャネル漏洩電力比 (ACPR/ACLR:Adjacent Channel Leakage Ratio)

ACPが電力の絶対値であるのに対して、相対比で示したものを隣接チャネル漏洩電力比と言います。基準となる信号を変調波にした場合の単位はdBとなり、無変調波とした場合の単位はdBcとなります。

dBcはディービーシーと読み、搬送波に対する電力比を表す単位です。dBcのcは、搬送波:carrierのcです。ちなみに、FSK変調は振幅変化でないため、dBもdBcであっても意味するところは変わりません。また、隣接チャネル漏洩電力比をACLRと略している場合もありますが、もちろん同じ意味です。

ACPRを具体的にイメージできるように、ACPRの測定波形を示します。

SG_4_ch

チャネル帯域25kHzから、両隣のチャネルに対するACPRを赤いポイントで測定しています。左は変調なし、右は変調ありです。ここで、理解してほしいのは、波形が示す通りチャネル帯域の電力は多かれ少なかれ漏れており、どこまで許容できるかを考えるパラメータであるということです。

変調あり/なしの2つを示したのは、今後の参考としてです。この例は、チャネル帯域が狭いため隣接チャネルまでが近くなっています。そのため、変調ありの右の例では、変調により広がった分のパワーによりACPRが悪い値になっています。チャネル帯域が広い場合は、変調のあり/なしによるACPRの差はほとんど無視できます。

キーポイント:

・送信パワーは、送信機がアンテナに供給する電波の強さで、単位はmWまたはdBm。

・隣接チャネル漏洩電力 (ACP)は、隣に位置するチャネル帯域に放射される/漏れ出す電力で、単位はdBm。

・隣接チャネル漏洩電力比 (ACPR/ACLR)は、ACPの比で、単位はdBまたはdBc。


無線通信の基礎