Bluetooth®|基礎編
スレーブレイテンシとクイックトランスミッション
2017.02.28
この記事のポイント
・スレーブレイテンシは、マスタからの問いかけに設定した回数分応答しなくても接続を維持し、電力消費を抑える動作。
・クイックトランスミッションにより、スレーブレイテンシの期間でも、必要応じてデータ送信ができる。
今回は、Bluetooth® low energyとして特徴的な動作であるスレーブレイテンシとクイックトランスミッションについて説明します。
スレーブレイテンシ
スレーブレイテンシは、スレーブ側が送りたいデータがなくても実施する必要があるマスタとの通信を間引いて、電力消費を抑える動作です。これだけを聞くと、当たり前の単純な話で終わってしまいそうですが、この様な動作を行いながら通信を成立させる手法が採られています。下の図で説明していきます。
通常、ネットワーク接続を維持するには、設定されたマスタのインターバルごとにスレーブはマスタと通信を行う必要があります。もし、マスタの呼びかけに応答しない(実際には、リンクロス回数として設定された回数応答しない)と、接続を切られてしまいます。しかしながら、送るべき更新されたデータがなくても通信を行うのは無駄なのは明らかです。
例えば、スレーブレイテンシを4に設定すると、マスタの問いかけに4回まで応答しなくても接続を切られずに維持することができます。上の2段目の図がそれを示しています。実際には、まったく何もしないのではなく、最小限の電力消費で接続維持のための動作をしており、図ではそれをイメージして背の低いバーで示しています。
マスタは、例えばスマートフォンでそれなりのバッテリを搭載していますが、ほとんどの場合スレーブは小さな機器でバッテリ容量も小さいものです。無駄な通信はバッテリを消耗させるので、このスレーブレイテンシという機能を備えています。
クイックトランスミッション
スレーブレイテンシにより設定された回数分、応答しなく済むのはありがたいことなのですが、スレーブがデータを取得した場合には即刻データを送信することが望まれます。ところが、通信インターバルが1秒だとすると、送信までに最悪5秒かかることになります。
こういったことを回避するために、スレーブは必要に応じてスレーブレイテンシの応答間引き期間であってもデータを送信できます。これをクイックトランスミッションといいます。図の三段目がそれを示しており、スレーブがデータを取得した場合、スレーブレイテンシにかかわらず、次の送信タイミングでデータを送信します。
スレーブレイテンシとクイックトランスミッションは、低消費電力動作でありながら、効率のよいデータ伝送を行うBluetooth low energyの特徴的な動作です。