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無線通信

無線通信規格の基礎

通信プロトコルスタックとは

ここまで大枠の無線通信規格について説明してきましたが、ここからは少し具体的なイメージができるように、無線通信を成立させるための規格やプロトコル、そして構造について説明します。

最初に用語を確認しておきます。

通信規格:通信規格とは、公の機関や団体等によって定められたもの。もしくは、業界で実質的に標準となっている仕様。例えば、IEEE802.15.4gはIEEEによる規格。規格には、通信プロトコルやデータの形式なども含まれる場合がある。

通信プロトコル:通信プロトコルとは、通信の手順ややり取りを規定するもの。例えば、送信データの形式、パケット構成、エラー時の対処などが取り決められており、機器間の交信を成立させる。交信をするためには、双方で同じ通信プロトコルを用いる必要がある。また、手順であることから、複数の規格が同じプロトコルを利用することがある。公の機関や団体によって策定されたものも多いが、必ずしも標準的なものとは限らない。

通信プロトコルスタック:通信プロトコルは1つの役割しか持たないことが多いため、1つの通信が複数のプロトコルで成立している場合が多い。プロトコルスタックとは、それらのプロトコルをまとめたもので、階層的に構築されることからスタックと呼ばれる。各プロトコルは上層および下層のプロトコルと相互に通信する。最下層のプロトコルはハードウェアとのやり取りを行う層で、上層に行くにつれその層が持つプロトコルの機能を追加していく。

OSI参照モデル:OSI参照モデルとは、ISO(国際標準化機構)によって策定された、コンピュータの通信機能を階層構造に分割したモデルで、通信機能(通信プロトコル)を7つの階層に分けて定義している。プロトコルスタックもこれを参照にした構造に基づく。(OSI:Open Systems Interconnection/開放型システム間相互接続)

階層 OSI参照モデル名 内容 プロトコル例
第7層 アプリケーション層 具体的な通信サービス HTTP、FTP、電子メール
第6層 プレゼンテーション層 上位アプリケーションのデータの
表現方法等
文字コード、データ圧縮
第5層 セッション層 通信プログラム間の仮想的な通信経路 TCP、UDP
第4層 トランスポート層 ネットワークの端点間の通信管理
大きなデータの分割、結合や、
フレーム欠損時の再送処理
第3層 ネットワーク層 アドレス管理と通信ルート制御 IPv4、IPv6
第2層 データリンク層 電波が直接届く範囲(1ホップ)内で
電文の受け渡し
MAC(Media Access Control)層のこと
IEEE802.15.4-2011 IEEE802.15.4e
第1層 物理層 無線の場合には周波数や変調方式など
PHY(Physical Layer)層のこと
IEEE802.15.4g

プロファイル:プロファイルとはサービスの提供や利用を規定するもので、目的ごとに通信プロトコルやその使い方を定めている。

実際の通信プロトコルスタックの例

プロトコルスタックは最初の用語のところで説明したように、通信を実現するための通信プロトコルが階層を成しているものです。図に示したSub-GHz無線通信のWi-SUNの場合、IEEE802.15.4g、IEEE802.15.4e、6LowPAN、IPv6、ECHONET Liteの組み合わせとなっており、この連携によって通信が実現しています。

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つまり、プロトコルスタックは無線通信システムの本質的要素を表しています。例えば、Wi-SUNの下層はZigBee IPと同じIEEE802.15.4の低電力版のIEEE802.15.4gです。これは、Wi-SUNがZigBee IPと同様のネットワークトポロジーに対応できる可能性があることを意味しています。

次回は、Wi-SUN無線通信を例にして、もう少し具体的にプロトコルスタックについて説明したいと思います。

キーポイント:

・通信規格、通信プロトコル、通信プロトコルスタックが意味することを理解する。


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