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BD9V100MUF-C : 業界最高降圧比を達成したDC-DCコンバータはんだ付け状態を目視確認可能なウェッタブルフランクパッケージ

2018.03.13

ロームは、2MHzスイッチングで業界最高の降圧比を達成したDC-DCコンバータIC「BD9V100MUF-C」のサンプル出荷を2017年6月から開始しており、2017年12月に量産体制に入ることを発表しました。

BD9V100MUF-Cは、2016年のCEATECをはじめとした展示会などでエンジニアサンプルでのデモが行われ、すでに開発が行われていることはアナウンスされていました。非常に注目度が高かったこともあり、Tech WebではすぐにTECH INFOの「エンジニアに直接聞く」で取り上げ、「48Vから3.3Vに直接降圧可能なDC-DCコンバータIC」と題し、「Part 1:48Vから3.3Vに直接降圧はできない?」と「Part 2:48Vハイブリッドシステムの電源をシンプルにして損失を減らす」の2本の記事をアップしました。

この記事では、正式リリースとなったBD9V100MUF-Cの仕様と特長を確認したいと思います。上記の記事に記した基本的な機能や特長に概ね変更はありませんが、当時、仕様や規格値は暫定であったため若干の変更があります。データシートも初版がリリースされていますので、詳細につきましては必ずデータシートを参照してください。

ウェッタブルフランクパッケージによりリードレスパッケージのはんだ付け状態を目視可能に

BD9V100MUF-Cは、Nano Pulse Control®技術により、マイルドハイブリッド自動車や産業用ロボット、基地局のサブ電源など、48V系電源システムの簡略化、そして、同アプリケーションの小型化を可能にします。その中でも、車載アプリケーションを強く意識した仕様になっており、AEC-Q100(Grade 1)にも対応しています。加えて、ウェッタブルフランクパッケージを採用し、車載電子機器メーカーの利便性を高めています。

ウェッタブルフランクパッケージは、あまり聞いたことがない名称だと思いますが、車載電子機器関連業界の中では何年か前から知られるようになりました。ウェッタブルフランクパッケージは、QFNなどリードレスパッケージの実装基板へのハンダ付け状態を目視確認できるように、パッケージのはんだ付けパッドに加工を施したパッケージです。

自動車メーカーは信頼性確保のために、部品実装後の100%自動目視検査を求めていますが、リードレスパッケージは外観からはんだ付け状態を確認するのは困難です。X線検査によって確認する方法もありますが、コスト増加や状態によってはX線検査ができない場合があり、車載電子機器メーカーの課題になっていました。

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ウェッタブルフランク加工は、リードレスパッケージ裏面のエッジをカットし、パッドのカット部にメッキを施します(パッケージ画像参照)。この加工によって、ハンダ付けでパッドにハンダが正常に馴染めばそのカット部分にフィレット(ハンダの乗り)が生じることが期待できます。目視検査においてパッケージ側面にフィレットを確認できれば、はんだ付けが正常にできている可能性が高いという判断が可能であることから採用され始めています。

ロームでは、機能や性能、品質と信頼性に加えて、車載アプリケーションにおける利便性の向上も推進しています。

BD9V100MUF-C 主要スペック(詳細はリンクからデータシートをご利用願います)

品番 入力電圧範囲 出力電圧 出力電圧精度 動作周波数 最大出力電流 動作温度範囲
BD9V100MUF-C 16V~60V 0.8V~5.5V ±2% 1.9~2.3MHz 1A (Max.) -40℃~125℃

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