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車載向けセカンダリ電源用同期整流コンバータ BD905xx-Cシリーズ:LDOでは対応できない条件が増加

2015.07.28

車載用電子機器は増加傾向にあり、使われるMCUやメモリといった電子デバイスも多様化しています。これは電源仕様の多様化も意味しており、主電源である5Vや3.3Vに加えて、1.8V、1.5V、1.2Vなどが必要になりました。多くの場合、これらの低電圧は車載バッテリの12Vから直接降圧するよりも5Vや3.3Vから降圧するのが有利で、この様な2段目の電源をセカンダリ電源という呼び方をするようにもなりました。

近年の車載用電子機器は、多種多様な電子デバイスを搭載しています。CPUやMUCは一般の電子機器と同様に低電圧化に伴い消費電流は増加傾向にあります。また、画像処理などに使われるDDRメモリの搭載にともない、複数の低電圧電源が必要になっています。

従来は、この様なローカル電源には、簡単でコンパクトなことからLDOリニアレギュレータが使われてきました。しかしながら、消費電流が増加傾向にあるためLDOでは発熱が増加して、放熱器などの対策を要したり、条件によっては使うことができないなどの問題が生じています。

例えば、3.3Vから1.8V/2Aの電源をLDOで作るとすると、入出力差が1.5Vであることから、少なくても1.5V×2A=3Wを損失することになります。放熱効果の高い表面実装パッケージで、実装にも4層基板などかなり放熱の配慮をした場合でも、熱抵抗は30℃/Wぐらいがせいぜいです。この例だと、発熱は90℃、Tj maxが150℃だとしても許容できる周囲温度は60℃で、車載機器に要求される動作温度範囲を考えると、通常はNGという判断になるかと思います。

対処として放熱器を追加する方法がありますが、実装面積、高さ、そしてコストも絡んで苦慮することになります。そこで、効率が高く発熱がすくないスイッチングレギュレータで代替する案が浮かぶのですが、一般にはいくつかの懸案が挙がってきます。

スイッチングレギュレータは、LDOに比べて部品点数が増えると言われており、さらにインダクタという磁気部品を含みます。それにともない、実装面積が増え、設計や評価に時間がかかることも想定されます。こういったころが懸案となって、LDOで何とかしようと方策を熟考することを否定するわけではありませんが、信頼性面も考慮すると発熱は可能な限り低く抑えたいですし、何よりも省電力の要求に関してはLDOの効率は不利であることは間違いありません。

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