知って得するキーポイント

FPGAの電源要求を満たすスイッチングレギュレータコントローラ高速過渡応答 のキーテクノロジー「H3Reg」とは

2016.12.20

この記事のポイント

・アドバタイザのアドバタイジングをスキャナが受信し、コネクトリクエストが送られることで通信が開始する。

・通信開始後に通信NGが発生すると、AFHを使い何度でも通信可能なチャネルを探して通信を完了させる。

BD95601MUVおよびBD95602MUVは、近年の低電圧大電流といった電源仕様に対応するスイッチングレギュレータコントローラICです。高効率で多くの保護機能を備えるのはもちろん、高い精度と安定性を必要とするFPGAやCPUの電源として最適な性能を備えています。

低電圧大電流の条件において、電圧精度を維持し高い安定性を得るためには、負荷過渡応答が高速である必要があります。負荷電流が急激に変動したときには、どうしても出力電圧は一瞬変動してしまいます。それを如何に迅速に回復するかは負荷過渡応答特性に掛かってきます。

負荷過渡応答特性を高速化するための制御方法として、固定オンタイム制御がよく知られています。BD95601MUVおよびBD95602MUV には、ローム独自の「H3Reg」と呼ぶ制御方式が採用されています。これは、固定オンタイム制御方式の過渡応答特性をさらに高速化した進化型の固定オンタイム制御方式です。以下に「H3Reg」の動作を説明します。

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  • ・FBピンには、内部電圧制御コンパレータ入力の基準電圧(REF)と比較するために分圧された出力電圧が帰還される。
  • ・通常動作では、H3Regコントローラは、FBピンの電圧がREF電圧以下になったことを検出すると、以下の式で決まる時間(tON)の間HGをオン(ハイサイドトランジスタをオン)にして、出力電圧を上昇させる。

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  • ・tON後にHG がオフになると、LGをオン(ローサイドトランジスタがオン)にして、FBピン電圧が降下し始め REF電圧と等しくなるとLG をオフにする。
  • ・この繰り返しによって、出力を一定に維持する。
  • ・負荷急変時には、出力が低下しFBピン電圧が決められたtON時間を過ぎてもREF電圧以上に上昇しない場合、tON時間を延ばしてより多くの電力を供給することで、出力電圧の復帰を早める。すなわち、過渡応答特性が向上する。
  • ・出力電圧が復帰すると、通常動作に戻る。

FPGAやCPUなどでは、スリープ状態からフル稼働への遷移時に、このような急激な負荷電流の変動が起こります。それに対し電源電圧は極力変動が少なく迅速に復旧しないと、FPGAやCPUの動作に影響がでてしまいます。出力電圧が低くなればなるほど、負荷過渡による変動に対する許容は小さくなり、負荷電流の変動が大きいほど電圧変動が大きくなります。したがって、低電圧大電流という条件は電源にとっては厳しいものになり、それに対応できる性能を備えている必要があります。

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