電源設計の技術情報サイト

技術資料ダウンロード

エンジニアに直接聞く

48Vから3.3Vに直接降圧可能なDC/DCコンバータIC

48Vハイブリッドシステムの電源を
シンプルにして損失を減らす

Part 2

注目ワード
  • 2ステップ
  • 1ステップ
  • 効率
  • 実装スペース
  • 部品数
  • 損失
  • 信頼性
  • 工数
  • AEC-Q100
  • N-ch MOSFETを内蔵
  • 昇圧ダイオード

-既存のコンバータICのほとんどが対応できないということは、現状の48Vシステムの電源はどうのようになっているのですか?

ほとんどは、2ステップの降圧方式を採っていると思います。例えば、48Vから12Vに降圧して、12Vから3.3Vなどの低電圧に降圧する方法です。この方法であれば、例に挙げた3社のICは、48Vから12Vへの降圧には使うことができますし、12Vからの降圧は既存の12Vシステムに対応できる車載用コンバータICを使うことができます。

-それでは、ロームが48Vから直接低電圧に降圧することを目指したのはなぜですか?

2ステップが1ステップになると、いろいろメリットがあります。まず、効率が改善されます。そして、2つの電源回路が1つになるわけですから、基板の実装スペース部品数を削減できます。

-部品数や基板スペースの削減はイメージがすぐにわきますが、効率はどのくらい改善されるのでしょうか?

ここに例があります。

この例では、2ステップの場合は1段目で20%の損失がでます。それに対して2段目ではさらに15%の損失がでますので、効率は、80%×85%=69%になります。これに対して、1ステップの場合は、降圧比が高いと効率は低下する傾向にありますが、それでも2ステップより高い効率が十分期待できます。

-他にメリットはありますか?

設計する回路が一つ減るわけですから、設計や評価の工数が減り時間を短縮できます。もちろん、コスト削減にも貢献できると思います。もう一つ重要なこととして、部品数が減るということは信頼性も向上します。これは特に自動車では歓迎されることではないでしょうか。

-設計という話がでましたので、BD9V100MUF-Cの仕様について教えてください。

わかりました。ただし、まだ最終化された内容や数値ではないので、あくまで参考ということにさせてください。特長と主要な仕様をまとめたものがあります。

特長

  • ・AEC-Q100対応
  • ・Nch POWER MOSFET内蔵
  • ・ソフトスタート機能
  • ・電流モード制御
  • ・過電流保護機能
  • ・低入力誤動作防止機能
  • ・温度保護機能
  • ・入力過電圧保護機能
  • ・出力過電圧保護機能
  • ・負荷短絡保護機能
  • ・ハイパワー小型面実装パッケージ

主要仕様

  • ・入力電圧範囲:12V~65V
  • ・最小オン時間:20ns
  • ・出力電圧範囲:0.8V~5V
  • ・出力電流:1A(最大)
  • ・動作周波数:2.1MHz(Typ)
  • ・基準電圧:0.8V±2%(全温度範囲)
  • ・シャットダウン時回路電流:0µA(Typ)
  • ・動作温度範囲:-40°C~+125°C

パッケージ W(Typ)×D(Typ)×H(Max)
VQFN24SV4040 4.00mm×4.00mm×1.00mm

特長ですが、第一に車載用なのでAEC-Q100に対応しています。これは、車載用というためには必須だと思います。パワースイッチは内蔵しています。高耐圧DC/DCコンバータICでは、スイッチが外付けになるものが多いのですが、BD9V100MUF-Cは外付け部品を最低限にして設計も簡単にするために、高耐圧のN-ch MOSFETを内蔵しました。

-この回路図は基本的な応用回路例だと思いますが、外付け部品が少ないですね。

基本的に必要な外付け部品は、入力と出力のコンデンサ、インダクタ、出力電圧設定用抵抗R1とR2、位相補償用のR3とC1、発振周波数設定用抵抗RRT、内部レギュレータ用コンデンサ、ブートストラップ用のRBOOT、CBOOTだけです。スイッチのMOSFETだけではなく、ブートストラップ用の昇圧ダイオードも内蔵しています。これで、必要になるほとんどの保護機能を搭載しています。高耐圧で最小オン時間が小さいからといって、回路構成や必要な部品に特別なものは一切ありません。

制御は電流モードです。電流モードは高速動作に適しており、位相補償も簡単です。

出力電流は1Aで、広範なアプリケーションをカバーできると思います。また、入力電圧範囲は12V~65Vで、出力電圧範囲は0.8V~5Vです。この仕様から、高い入力電圧を5V以下の低電圧に直接降圧するものであることがわかるかと思います。

-最後に、どのようにして業界最小のオン時間を実現したのか、教えていただけますでしょうか?

特許などの関係もあり、お話しできないことがほとんどなんです。高い降圧比に対応するには最小オン時間を短くすることが必要なことは誰もが知っていることなのですが、従来の制御方法ではノイズの影響や回路遅延などにより限界に近い状況でした。それに対して、ロームは独自のアイデアと技術で限界を超えた、というところまででご容赦ください。

-それでは、まとめていただけますか。

基本的には、48Vハイブリッドシステムを強く意識した降圧型DC/DCコンバータですが、産業機器やテレコムなど高電圧アプリケーションで、5V以下の低電圧に直接降圧できるICです。

今までは、降圧比の高い変換が必要な時に1ステップでの変換をあきらめ、2ステップ変換にせざる得なかったケースがあったと思います。さらに車載機器では、ラジオとの干渉を避けるため2MHz以上のスイッチング周波数が要件となると、48Vシステムでは2ステップ変換が標準だと考えてはいませんでしたでしょうか。「BD9V100MUF-C」は、ローム独自の制御技術により20nsの最小オン時間を実現し、2MHz以上の高速スイッチングで65Vから5V以下への1ステップ変換を可能にしました。効率の改善、小型化、部品点数削減、そして信頼性の向上などメリットがたくさんあることを理解いただいて、従来の常識を刷新していただければと思います。

-どうもありがとうございました。

技術資料ダウンロード