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SiCパワーデバイス

フルSiCパワーモジュール

活用のポイント: 専用ゲートドライバとスナバモジュールの効果

今回は、フルSiCモジュール活用のポイントとして、前回取り上げたスナバコンデンサに加えて、専用ゲートドライバを利用した場合のスイッチング特性の改善について説明します。

フルSiCモジュールのドライブ仕様と基本構成

以下の条件、および回路構成に対して、スナバコンデンサと専用ゲートドライバを用いた特性の比較を行います。回路構成には、前回説明した電解コンデンサ、フィルムコンデンサが付加されています。専用ゲートドライバを用いない場合はゲート誤オン対策として、マイクロオーダのCGSを追加し、VGSはマイナスバイアスとし-5Vを印加します(第二世代SiCMOSFET搭載のフルSiCモジュールの場合)。

フルSiCモジュールのドライブ仕様と基本構成。

フルSiCモジュール評価用専用ゲートドライブボートとセラミックスナバコンデンサモジュール

これらが上記の基本構成に付加する専用ゲートドライバとスナバコンデンサです。これらは、フルSiCモジュール評価用として用意されているものです。

左はフルSiCモジュール評価用専用ゲートドライブボート。右はフルSiCモジュール評価用セラミックスナバコンデンサモジュール。

そしてこれらを実装した実機です。

専用ゲートドライブボートとセラミックスナバコンデンサモジュールを実装した評価用デモ機。

専用ゲートドライバとスナバモジュールの効果

最初に、専用ゲートドライバとスナバモジュールのある、なしでターンオン時の波形の比較を示します。

専用ゲートドライバとスナバモジュールの効果。ターンオン時の波形比較。

上から順に、ID、VD、VGで、赤と橙のラインが専用ゲートドライバとスナバモジュールを装着した場合の波形、青と緑が未装着時の波形です。明らかにサージやリンギングが抑制されているのがわかります。

続いて、ターンオフ時の波形です。

専用ゲートドライバとスナバモジュールの効果。ターンオフ時の波形比較。

同様に、サージやリンギングが大幅に抑制されています。

損失に関しては、Eonは4.3mJから5.3mJに増加し、Eoffは5.3mJから3.8mJに減少しています。これは影響を及ぼすインダクタンスが小さくなると、Eonが大きくなりEoffは小さくなることが理由です。損失全体(Eon+Eoff)で比較すると損失は0.4mJ削減されています。

結論として、フルSiCモジュールの性能を十分に活用するには、スナバを付加し、ゲートドライバは専用設計のものを使うことが良策と言えます。ここまで、「フルSiCモジュールの活用のポイント」と題して、ゲートドライブに関する考察、スナバの効果、そして今回は専用ゲートドライバについて説明してきました。高電圧、大電流を非常に高速でスイッチングするには、こういった補完部品と評価に基づく調整がポイントになります。特に初期的な評価に関しては、評価ボードなどを利用することで開発がスムーズに進行します。

Key Points:

・専用ゲートドライバとスナバモジュールを利用すると、大幅にサージやリンギングを抑制することができる。

・損失に関しては、Eonは増加しEoffは減少する。損失全体(Eon+Eoff)で比較すると損失は減少する。


シリコンカーバイドパワーデバイスの理解と活用事例