SiCパワーデバイス|基礎編

フルSiCパワーモジュールとは

2017.10.31

この記事のポイント

・フルSiCパワーモジュールは、ローム自社製のSiC-MOSFETとSiC-SBDにより構成されている。

・Si-IGBTパワーモジュールに対して、高速スイッチングと大幅な損失低減が可能。

・フルSiCパワーモジュールの進化は続いており、最新の第3世代SiC-MOSFETが搭載されている。

新章の開始になります。SiC概要、SiC-SBD(ショットキーバリアダイオード)、SiC-MOSFETに続き、すべてをSiCパワーデバイスで構成した、「フルSiCパワーモジュール」について解説して行きます。今回は第1回として、フルSiCパワーモジュールとは具体的にどういったものなのか、そしてどんな機種が存在するのかということ知ってもらおうと思います。以降、特長や性能、応用例や使い方を順次説明して行く予定です。

フルSiCパワーモジュールとは

ロームでは世界に先駆けて、自社製のSiC-MOSFETとSiC-SBDを使用した「フルSiCパワーモジュール」を量産しています。従来のSi-IGBTパワーモジュールに対して、高速スイッチングと大幅な損失低減が可能です。この点については、これまでのSiC-SBDやSiC-MOSFETの特長と性能の説明から、すぐにイメージできると思います。

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現在、ロームが量産しているフルSiCパワーモジュールは、2 in 1タイプのモジュールで、ハーフブリッジタイプと昇圧チョッパタイプがあります。

またラインアップには、NTCサーミスタを搭載したタイプも用意されています。

以下に、現在の機種ラインアップと主要な仕様をまとめました。1200V耐圧で80A~600Aのラインアップが揃っており、400Aと600Aの2機種については先般開発されたばかりです。このラインアップの拡充は、IGBTモジュール市場の主要な電流定格である100A~600Aをカバーするものです。

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※仕様が確定していないものもあるので、詳細確認が必要な場合はこちらから確認願います。

進化著しいフルSiCパワーモジュール

最新のフルSiCパワーモジュールには、最新のSiC-MOSFETとなる第3世代トレンチ構造SiC-MOSFETが採用されており、さらに損失の低減が図られています。以下に例を示します。

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次回は、フルSiCパワーモジュールの特長とメリットの詳細を説明する予定です。

【資料ダウンロード】SiCパワーデバイスの基礎

SiCの物性やメリット、SiCショットキーバリアダイオードとSiC MOSFETのSiデバイスとの比較を交え特徴や使い方の違いなどを解説しており、さまざまなメリットを持つフルSiCモジュールの解説も含まれています。

フルSiCパワーモジュールとは

SiCパワーデバイスの基礎