SiCパワーデバイス|基礎編

SiC-MOSFETとは-SiC-MOSFETの活用事例

2017.08.29

この記事のポイント

・SiC-MOSFETの活用事例をヒントに、SiC-MOSFETの有効性について考える。

今回は、SiC-MOSFETの活用事例をいくつか示したいと思います。少し前の情報やプロトタイプレベルのものもありますが、SiC-MOSFETを利用することの利点や新たに実現できることの参考になるかと思います。また、SiC-MOSFETに加えて、SiC-SBD、フルSiCモジュールの採用事例をこちらから確認することができます。

SiC-MOSFET活用事例1:フェーズシフトDC-DCコンバータ

こちらはデモ機で、パワーアシストテクノロジー株式会社と共同制作したものです。

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Si IGBT、第二世代SiC-MOSFET、前回説明した第三世代トレンチ構造SiC-MOSFETの3種類のトランジスタをフルブリッジインバータ部分に使用し、同サイズのフェーズシフトDC-DCコンバータを構成し、各デバイスにて効率を比較したデモ機になります。

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まず、SiC-MOSFETの構成においては、スイッチング性能の優位性を発揮し、Si IGBTでは実現が困難な100kHzの高周波動作と電力の向上を実現しています。また、第二世代(2G)SiC-MOSFETでは1つのスイッチをトランジスタ2個の並列接続で構成しましたが、第三世代(3G)SiC-MOSFETでは低オン抵抗化を実現したことで、トランジスタ数を8個から4個に減らすことができました。効率に関しては、第三世代(3G)SiC-MOSFETを用いた場合が最も良い結果を得られており、いずれのSiC-MOSFETもSi IGBTを上回る高い効率を達成しています。

SiC-MOSFET活用事例2:パルスパワー

パルスパワーは、短い時間で電力を瞬間的に供給するようなシステムで、応用例としては、ガスレーザー、加速器、X線、プラズマ電源などがあります。既存のソリューションとしては、サイラトロンなどの真空管やSiスイッチがありますが、より高耐圧で高速なスイッチングが求められています。これに対して、SiCの高耐圧と高速性によって、超高電圧高速スイッチを実現しました。これは、高速性の観点からはSi IGBTでは実現が困難です。なお、以下の例は、福島SiC応用技研株式会社、株式会社京都ニュートロニクス、国立研究開発法人科学技術振興機構の協力を得てCEATEC 2014、テクノフロンティア2015に出展したものです。

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・超高圧パルス電源

  • 特徴
  • ・超高耐圧疑似
     Nch SiC MOSFET
  • ・低オン抵抗
    (従来の1/100以下)
  • ・高い繰り返し周波数
  • 応用例
  • ・荷電粒子加速器
  • ・医療用機器電源
  • ・プラズマ発生器など
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・1~10kVランダムパルス発生器:13.2kV SiCスイッチ

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【資料ダウンロード】SiCパワーデバイスの基礎

SiCの物性やメリット、SiCショットキーバリアダイオードとSiC MOSFETのSiデバイスとの比較を交え特徴や使い方の違いなどを解説しており、さまざまなメリットを持つフルSiCモジュールの解説も含まれています。

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