SiCパワーデバイス|基礎編

SiC-MOSFETとは-トレンチ構造SiC-MOSFETと実際の製品

2017.07.25

この記事のポイント

・ロームは独自のダブルトレンチ構造を採用したSiC-MOSFETの量産化を実現した。

・トレンチ構造SiC-MOSFETは、DMOS構造品に対し、オン抵抗を約50%、入力容量を約35%低減している。

今回は、最新の第三世代SiC-MOSFETの説明と、現在、入手可能なSiC-MOSFETに関する情報を提供します。

独自のダブルトレンチ構造SiC-MOSFET

SiC-MOSFETの進化は続いており、ロームでは世界で初めてトレンチゲート構造を採用したSiC-MOSFETを量産しています。これは、ロームでは第三世代のSiC-MOSFETとなります。

トレンチ構造はSi-MOSFETでは広く採用されており、SiC-MOSFETにおいてもトレンチ構造の採用は、オン抵抗低減に有効であることから注目されていました。

しかしながら、一般的なシングルトレンチ構造では、ゲートトレンチ底部に電界が集中することから、長期信頼性に関する課題がありました。これに対し、ロームが開発したダブルトレンチ構造は、ソース部分にもトレンチ構造を設けることで、ゲートトレンチ底部の電界集中を緩和し、長期信頼性を確保することにより、量産化を実現しました。

このダブルトレンチ構造を採用したSiC-MOSFETは、既に量産中の第2世代プレーナ型(DMOS構造)SiC-MOSFETに比べ、オン抵抗を約50%、入力容量を約35%低減しています。

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実際のSiC-MOSFET製品

以下は、供給可能なSiC-MOSFETの一覧です。SCTシリーズとSCHシリーズがあり、SCHシリーズはSiCショットキーバリアダイオードを内蔵しており、ボディダイオードの逆回復特性をカバーし、大幅な特性向上を図っています。

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一覧にあるSCT3xxxの型番のものが、第三世代トレンチ構造SiC-MOSFETです。

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【資料ダウンロード】SiCパワーデバイスの基礎

SiCの物性やメリット、SiCショットキーバリアダイオードとSiC MOSFETのSiデバイスとの比較を交え特徴や使い方の違いなどを解説しており、さまざまなメリットを持つフルSiCモジュールの解説も含まれています。

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