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SiCパワーデバイス

SiC-MOSFET

Si-MOSFETとの違い

ここからは、SiC-MOSFETと他のパワートランジスタとの比較を個別にして行きます。

今回は、Si-MOSFETとの違いについて説明します。まだSiC-MOSFETを使ったことのない方は、個々のパラメータの詳細より、Si-MOSFETと駆動方法などがどの様に違うのかということが第一の疑問ではないかと思います。ここでは、SiC-MOSFETの駆動に関して、Si-MOSFETとの比較において留意すべき2つのポイントを示します。

Si-MOSFETとの違い:駆動電圧

SiC-MOSFETはSi-MOSFETと比較して、ドリフト層抵抗は低いのに対しチャネル抵抗が高いため、駆動電圧となるゲート-ソース間電圧:Vgsが高いほどオン抵抗は低くなるという特性をもっています。以下のグラフはSiC-MOSFETのオン抵抗とVgsの関係を示しています。

オン抵抗は、Vgsが20Vあたりから徐々に変化(降下)が小さくなり最小値に近づきます。一般的なIGBTやSi-MOSFETの駆動電圧はVgs=10~15Vですが、SiC-MOSFETは十分に低いオン抵抗を得るためにVgs=18V前後で駆動することが推奨されます。つまり、Si-MOSFETより高い駆動電圧を必要とする点が違いの一つとなります。Si-MOSFETと置き換える場合には、ゲートドライバ回路の検討も必要です。

Si-MOSFETとの違い:内部ゲート抵抗

SiC-MOSFETの素子そのもの(チップ)の内部ゲート抵抗:Rgは、ゲート電極材料のシート抵抗とチップサイズに依存します。同じ設計であればチップサイズに反比例し、小さいチップほどゲート抵抗は高くなります。同等の能力では、SiC-MOSFETのチップサイズはSiデバイスに比べ小さいため、ゲート容量は小さいのですが内部ゲート抵抗は大きくなります。例えば、1200V 80mΩ品(S2301はベアダイ製品)では内部ゲート抵抗は約6.3Ωです。

これはSiC-MOSFETに限ったことではありませんが、MOSFETのスイッチング時間は外付けゲート抵抗と上記で説明した内部ゲート抵抗を合わせたトータルゲート抵抗値に依存します。SiC-MOSFETの内部ゲート抵抗はSi-MOSFETより大きいので、高速スイッチングのためには外付けゲート抵抗は数Ω程度と、なるべく小さくする必要があります。

ただし、外付けゲート抵抗はゲートに印加されるサージに対する保護の役目ももっているので、サージ保護との兼ね合いに注意しなければなりません。

Key Points:

・SiC-MOSFETが低いオン抵抗を得るには、Vgsは18V前後とSi-MOSFETより高い必要がある。

・SiC-MOSFETの内部ゲート抵抗はSi-MOSFETより大きいので外付けRgは小さくするが、サージとの兼ね合いが必要である。


シリコンカーバイドパワーデバイスの理解と活用事例