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SiCパワーデバイス

SiCショットキーバリアダイオードとは

SiC-SBDを使うメリット

SiC-SBDについて、その特性とSiダイオードとの比較、現状入手可能な製品について説明してきました。今回は、今までのまとめをしながら、SiC-SBDのメリットを考察したいと思います。

SiC-SBD、SiーSBD、Si-PNDの特徴

SiC-SBDは、半導体であるSiCにショットキーバリアを得るために金属が接合(ショットキー接合)しています。構造に関しては、Siのショットキーバリアダイオードと基本的に同じで、電子のみが移動し電流が流れます。それに対して、Si-PNDはP型シリコンとN型シリコンの接合構造からなり、電子と正孔(ホール)によって電流が流れます。

SiC_2-5_sicsky

SiC-SBDとSi-SBDは共に高速性が特徴になりますが、SiC-SBDは優れた高速性をもちながら高耐圧を実現しています。Si-SBDの耐圧は200Vが限界ですが、SiCはシリコンの10倍の絶縁破壊電界をもっていることから、1200V品が量産されており1700V耐圧品の開発も進んでいます。

Si-PNDは、n-層に少数キャリアの正孔が蓄積することで抵抗値が下がることから、Si-SBDを遥に超える高耐圧と低抵抗を同時に実現できますが、ターンオフのスピードは遅くなります。

Si-PNDの中で高速性を高めたのがFRDですが、それでもtrr特性などはSBDより劣ります。

右の図は、Si-SBD、Si-PND/FRDとSiC-SBDの耐圧のカバレッジを示したものです。SiC-SBDは、Si-PND/FRDの耐圧範囲のかなりをカバーしているので、この領域のSi-PND/FRDのtrrを改善することができます。

SiC_2-5_cover

SiC-SBDのtrr

Si-SBDは、優れたtrr特性をもち、さらに温度および電流依存性がほとんどないことを、Si-FRDとの比較で説明しました。

SiC_2-5_comptemp

SiC-SBDの順方向特性

Si-SBDの順方向特性は、Si-PNDとは異なります。これは物性や構造によるものです。特に温度特性に関しては、Si-FRDは高温になるにつれVFが低下し導通損失が減るのですが、逆にIFが増加することで熱暴走状態に陥る可能性があります。

これに対しSiC-SBDは、高温になるにつれVFが高くなるので熱暴走は起こしません。しかし、VFが上昇するためIFSMがSi-FRDより低くなります。

SiC_2-5_vfcompa

SiC-SBDのメリット

このようなSiC-SBDの特徴から、Si-PND/FRDを代替するメリットは、SiC-SBDの「高速性」がもたらすものです。

  1.trrが高速なので、リカバリ損失を大幅に削減でき高効率
  2.同様の理由で逆電流が小さいのでノイズが小さく、
   ノイズ/サージ対策部品を削減でき小型化が可能
  3.高周波動作によりインダクタなど周辺部品の小型化が可能

以下に事例とイメージを示します。

SiC_2-5_comptrr
SiC_2-5_pfc

さらに、温度に対し非常に安定であることなどから車載グレードにも対応しており、実際にHV/EV/PHVのオンボード充電回路でSiC-SBDのメリットが活かされています。

SiC_2-5_ev

Key Points:

・ロームSiC-SBDはすでに第3世代まで進化している。

・第3世代品は、サージ電流耐量とリーク電流を改善し、第2世代で成し得た低VFをさらに低減した。


シリコンカーバイドパワーデバイスの理解と活用事例