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Siパワーデバイス

特徴を生かしたアプリケーション事例

PFCとは

ここからは、実際のアプリケーション回路において、ダイオードやトランジスタの特性や性能によってどのような違いや使い分けがあるのかを説明していきます。最初はPFC(力率改善)での例から始めますが、電子機器によってはPFCの搭載が必須となるので、今回はPFCについて少し説明をします。

PFCとは

PFC(力率改善)は、力率を改善して力率を1に近づけることを意味していいます。これは、力率角(位相角)を0°に近づけることで電圧と電流の位相差を小さくし、皮相電力を有効電力に近づけます。同時に、高調波電流を抑制します。高調波抑制は、国際規格IEC61000-3-2によりクラス分けおよび最大許容高調波電流が規定されており、該当する電子機器は基本的にPFCを搭載することになります。

シングルPFCとインターリーブPFC

PFCの基本動作は、インダクタに三角波状に電流を流し、電流の平均値が正弦波になるように制御することで電圧と電流の位相のずれを補正します。以下は、PFCの基本回路で、シングルとインターリーブ方式の例です。

名称のとおり、シングル方式は1組のスイッチ(トランジスタ)、ダイオード、インダクタで構成されるのに対し、インターリーブ方式は2組の構成で、スイッチは180°位相をずらして駆動します。したがって、シングルPFCのインダクタ電流はオンオフによる単一の三角波ですが、インターリーブPFCは三角波がオーバーラップします。その結果、リップル電流は小さくなり、実効的な周波数は倍になります。右の図は、インダクタ1個ずつの電流波形と、インターリーブ方式の電流波形のイメージです。

インターリーブ方式は、2組のスイッチを使うので、スイッチング損失が分散し1個のスイッチの負荷が軽減され、熱設計が容易になります。また、リップルが小さく実効周波数が高くなることからフィルタサイズを小型にできます。これは、DC/DCコンバータの2フェーズ駆動と同じ原理です。

臨界モード(BCM)と連続モード(CCM)

PFCの制御には一般に、電流がゼロになる時点でスイッチする電流臨界モード(BCM:Boundary Current Mode)と、インダクタに連続的に電流を流した状態で使う電流連続モード(CCM:Continuous Current Mode)が使われます。

DCMは、ダイオード電流がゼロになった時点でスイッチがオンになるので、ダイオードに逆回復電流は流れません。しかし、電流がゼロから最大値まで大きく変化するので、インダクタとダイオードのピーク電流が大きくなります。それに対してCCMは、ダイオードに電流が流れている状態でスイッチがオンしてダイオードが強制的にオフされるため、大きな逆回復電流が流れスイッチングノイズが発生します。ただし、連続的に流れるインダクタ電流はほぼ直流で、リップルも小さいのが特徴です。

方式の違いによる出力電力の違い

上述のシングル方式とインターリーブ方式、BCM制御とCCM制御の違いは、出力電力とピーク電流特性の違いとなって表れます。一般に、出力電力が大きい回路ではインターリーブ方式およびCCM制御を使うことが多いです。以下のグラフは比較の例です。

Key Points:

・PFC(力率改善)は、力率を改善して力率を1に近づけること。

・PFCにはシングルとインターリーブ方式があり、インターリーブ方式は損失を分散することができるので熱設計が容易。

・PFCには、臨界モード(BCM)と連続モード(CCM)があり、一般に大電力にはCCMが使われる。


シリコンパワーデバイスの特徴を活かしたアプリケーション事例