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Siパワーデバイス

実動作におけるトランジスタの適性確認

SOA(安全動作領域)内であることの確認

この章では、実動作において選択したトランジスタが適切であるか否かの判断のための方法と手順を説明しています。

今回は、右のフローチャートの③SOA(安全動作領域)内であることの確認、について説明します。

実際の電流/電圧波形の測定
絶対最大定格内であることの確認
③SOA(安全動作領域)内であることの確認
④使用雰囲気温度でディレーティングした
   SOA内であることの確認
⑤連続パルス(スイッチング動作)
⑥平均消費電力が定格電力内であることの確認
⑦チップ温度の確認

170525_si_01

③SOA(安全動作領域)内であることの確認

SOA(Safe Operating Area:安全動作領域)は、トランジスタが安全な条件下で動作しているかを確認するための情報です。基本的に、ドレイン電流IDとドレイン-ソース間電圧VDSSとの関係において、定格電圧および電流、許容電力(発熱)に対して安全な、つまり信頼性を損ねたり破壊に至らない領域がグラフで示されています。

以下は、ここで例として使っているMOSFET R6020ENZのSOAグラフで、データシートから抜粋したものです。

20170829_graf_01

このグラフを使って、回路での動作状態がSOA内に入っているかを判断しますが、このデータにはいくつか留意しなければならない条件があります。

・シングル(単一)パルスが条件(この例ではパルス幅が3種類提示されている)。繰り返しパルス、つまり連続的な
 スイッチングにはそのまま適用できない。繰り返しパルスが入る場合は、すべてのパルスがSOA内に入っていることに
 加え、⑥で計算する平均印加電力が定格電力以下でなければならない。
・温度条件はTa=25℃がほとんど。
・基本的に参考値で保証値ではない。
・トランジスタの実装条件などにより結果は異なる。

これだけ制限があると、実際の条件では使えないように見えなくもありません。しかしながら、例えばパッケージ熱抵抗は既知のものですが、実装状態での熱抵抗は実装条件次第です。また、シングルパルスという条件も、5回とか100回などとしてもとりとめのない条件になってしまいます。従って、ある程度明確化できる条件のもとに示されたものとなるのは理解いただけるかと思います。実際には、平均化や換算、そして後に説明しますがディレーティングをともなって判断をして行きます。

SOA破壊とは

動作中にSOA外の条件になってしまうと、破壊が発生する可能性があります。通常動作の条件がSOA外なのは論外ですが、通常動作では発生しない過電圧や短絡などにより、印加電圧が維持されたまま過電流が流れたりすると、瞬時に局部的な発熱が発生し破壊が生じます。

また、不適切な熱設計や繰り返し周波数の高周波化により、トランジスタチップの放熱が不十分になり連続的な発熱が発生し、チャネルの許容温度を超えて熱暴走が起こり破壊するモードもあります。

20170829_graf_02

次回は、④使用雰囲気温度でディレーティングしたSOA内であることの確認、について説明します。

Key Points:

・SOA(Safe Operating Area:安全動作領域)は、トランジスタが安全な条件下で動作しているかを確認するための情報。

・基本的に、IDとVDSSとの関係において、定格電圧および電流、許容電力(発熱)に対して安全な領域がグラフで示されている。

・SOAの条件をよく確認して、実際の使用条件との違いを考慮した上で利用する。


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