Siパワーデバイス|基礎編

絶対最大定格内であることの確認

2017.07.26

この章では、実動作において選択したトランジスタが適切であるか否かの判断のための方法と手順を説明しています。

今回は、右のフローチャートの②絶対最大定格内であることの確認、について説明します。

実際の電流/電圧波形の測定
②絶対最大定格内であることの確認
③SOA(安全動作領域)内であることの確認
④使用雰囲気温度でディレーティングした
   SOA内であることの確認
⑤連続パルス(スイッチング動作)
⑥平均消費電力が定格電力内であることの確認
⑦チップ温度の確認

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②絶対最大定格内であることの確認

最初に、「絶対最大定格」の定義を確認したいと思います。JIS C 7032では、絶対最大定格は、「瞬間たりとも超過してはならない限界値で、また2項目以上規格値が定められているとき、どの2つの項目も同時に達してはならない限界値」と記されています。

入力電圧を例に取ると、絶対定格値は入力してもかまわない電圧ですが、正常動作するかどうかは別で、許容差や実力値といった概念はありません。また、超えると壊れる可能性があるのですが、壊れる値を意味しているわけではありません。要は、無条件で超えてはいけない値なのです。

この「絶対最大定格内であることの確認」では、これらを正しく理解した上で判断します。

前回、例としてMOSFET R6020ENZのスイッチング動作の全体像と、オンオフ遷移時のID、VDS、VGS、そして電力の波形をデータとして採りました。基本的に、それらデータがR6020ENZの絶対最大定格を超えていないを確認します。以下に、R6020ENZの絶対最大定格とチェックポイントを示します。前回の提示した写真と比較してみてください。

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実際は、入出力電圧、負荷電流、温度など使用条件におけるワーストケースにおいて確認することで、「瞬間たりとも超過してはならない」という要求事項を満たすかどうかを確認していきます。

次回は、③SOA(安全動作領域)内であることの確認、について説明します。

【資料ダウンロード】Siパワーデバイスの基礎

Si半導体を用いたパワーデバイスには非常に多くの種類がありますが、このハンドブックでは、主に電源用途のダイオードとトランジスタを中心に基礎的なポイントを解説します。また、回路設計時のトランジスタ選択の手順と決定方法、各特性や特徴を利用したアプリケーション事例を紹介します。

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Siパワーデバイスの基礎