Siパワーデバイス|基礎編

実動作における適性確認と準備

2017.05.30

この記事のポイント

・基本的に試作において、選択したトランジスタが実動作において使用可能であるか否かの確認が必要。

・確認のために、トランジスタが扱う電圧と電流のデータを測定する。

実動作における適性確認

170525_si_01

選択したトランジスタが実動作において問題があるかないかを判断するための例を、右のフローチャートに示しました。説明では、スイッチング回路を前提とするので、⑤は「連続パルス」を選択します。

①実際の電流/電圧波形の測定
②絶対最大定格内であることの確認
③SOA(安全動作領域)内であることの確認
④使用雰囲気温度でディレーティングした
   SOA内であることの確認
⑤連続パルス(スイッチング動作)
⑥平均消費電力が定格電力内であることの確認
⑦チップ温度の確認

また、チャートにはないのですが、念のため最後に⑦として、「トランジスタチップの温度確認」を追加します。

①実際の電流/電圧波形の測定

前述の各確認をするにあたり、最初にトランジスタが回路動作において、どの様な電圧と電流を扱っているかを確認する必要があります。ここではスイッチング回路を例にしています。トランジスタは、前章で説明した、低ノイズスーパージャンクションMOSFET:ENシリーズR6020ENZ(600V、20A、0.17Ω、TO-3PF)です。

具体的には、オシロスコープを利用して、波形データを取ります。以下の波形は、R6020EZNのスイッチング動作の全体像です。

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これに加えて、後ほどスイッチング時の電力損失を計算するために、オンオフ遷移時の拡大波形のデータも取ります。今回は、波形図に示されているようにID、VDS、VGS、電力も波形を取りました。波形は、オン、オフ、それぞれの遷移の波形が必要です。

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次回は、これらの波形から、最大定格内か否かの確認をします。

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Si半導体を用いたパワーデバイスには非常に多くの種類がありますが、このハンドブックでは、主に電源用途のダイオードとトランジスタを中心に基礎的なポイントを解説します。また、回路設計時のトランジスタ選択の手順と決定方法、各特性や特徴を利用したアプリケーション事例を紹介します。

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