ノイズ

効果的なデカップリングコンデンサの使い方 まとめ

2018.09.11

「効果的なデカップリングコンデンサの使い方」として、3回にわたり説明をしてきました。コンデンサによるノイズ対策に関して非常に重要なポイントであるので、ここでまとめをします。

ポイント1:複数個のデカップリングコンデンサを使用する
ポイント2:コンデンサのESL(等価直列インダクタンス)を減らす
その他の注意点

ポイント1:複数個のデカップリングコンデンサを使用する

複数個のコンデンサを使うデカップリングでは、同じ静電容量のコンデンサを複数使うのと、静電容量の違うコンデンサを織り交ぜて使うのとでは効果が違ってくる。

■同じ静電容量のコンデンサを複数個使う場合
全周波数範囲でインピーダンスが低下し、全体的にノイズを低減するのに効果的。

■静電容量の異なるコンデンサを複数個使う場合
より高い周波数でのインピーダンスを下げることができ、高い周波数のノイズ低減に効果的。ただし、周波数によって反共振が発生し、逆にインピーダンスが高くなりノイズが悪化することがあるので注意が必要。

ポイント2:コンデンサのESLを減らす

静電容量が同じであればESLが低いほど共振周波数が高くなるので、ESLを減らすことによって高周波特性を改善することができ、より効果的に高周波ノイズを低減することが可能。

■同じ静電容量でもサイズの小さいコンデンサを使用する
ESLはコンデンサの端子部の構造に依存するので、サイズが小さいコンデンサは基本的に端子部も小さく、通常ESLは小さくなっている。より高い周波数でのノイズを低減する必要がある場合に、サイズの小さいコンデンサを選択する方法がある。ただし、DCバイアス特性に注意。

■ESLの低減を図ったコンデンサを使用する
積層セラミックコンデンサ中には、LW逆転タイプ、3端子コンデンサのような形状や構造によってESLの低減を図ったタイプがある。

効果的なデカップリングコンデンサの使い方:その他の注意点

■Qの高いセラミックコンデンサ
Qが高いと特定の狭い帯域に対してインピーダンスが極端に低い。Qが低いとインピーダンスは極端に下がらないが広い帯域にわたりインピーダンスを下げることができる。

■サーマルリリーフなどのPCBパターン
放熱特性向上を目的としたサーマルリリーフなどのPCBパターンは、パターンのインダクタンス成分を増加させるので、共振周波数が低周波側に変動し目的のノイズ除去効果が得られなくなる場合がある。

■対策検討時のコンデンサ仮実装
高周波のノイズ対策のために小容量のコンデンサの追加する場合、「小容量のコンデンサをノイズ源に極力近づける」というセオリーに基づき、実際にする修正に極力近い配置で検討する。検討時と修正後の配置が異なるとインピーダンスも異なり評価時と同じ特性が得られない。

■コンデンサの静電容量変化率
ノイズ対策用のコンデンサの静電容量変化率が大きいと、共振周波数の変動が大きくなり減衰したい帯域に変動やばらつきが生じ、意図したノイズ対策が困難になる場合がある。特に、狭帯域で大きな減衰を必要とする場合は注意が必要。

■コンデンサの温度特性
コンデンサには、温度による特性変動があるので、アプリケーションによって明らかに高温、低温、大きな温度変化にさらされる場合は、温度特性のよいものを使用する。

各詳細につきましては、リンクを利用して元の記事で確認願います。次回からインダクタを使用したノイズ対策の説明に入る予定です。

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