伝達関数

DC-DCコンバータ : 各制御系に対する伝達関数の共通化 ーまとめー

2018.02.13

2015年10月に開始してから2年以上にわたった「DC-DCコンバータ:各制御系に対する伝達関数の共通化」ですが、今回の「まとめ」をもって最後となります。伝達関数の導出といった少々難しいテーマではありましたが、制御工学では、伝達関数をシステムの挙動や安定性を評価する手段として用いています。そして、このサイトのメインテーマである「電源」は伝達関数を持ち、電源設計において伝達関数を求めることで、応答特性や安定性を評価することが可能になることから、伝達関数を理解することは非常に有意義です。少々複雑な数式とその展開が出てきましたが、その考え方と数式を参考に伝達関数導出にアプローチしていただければと思います。

以下に、各記事のリンクとキーポイントを書き出しました。

DC-DCコンバータ:各制御系に対する伝達関数の共通化

<DC-DCコンバータ:各制御系に対する伝達関数の共通化 ーはじめにー>

はじめに

この記事のポイント

・開発者、設計者問わず伝達関数を理解することは非常に有意義。

・ここでは伝達関数導出にあたり共通化を課題とする。

・伝達関数の導出過程は数学的アプローチを基本とし、各制御方法に対して統一的なアプローチをとる。

<伝達関数とは>

ゲインと位相、伝達関数の求め方

この記事のポイント

・伝達関数とはブラックボックスを介して入力信号(vin)が出力信号に変換される場合の変換変数。

・ゲインと位相は一般に伝達関数の重要な要素。

・伝達関数は分解することができ、それらの積として記述できる。

キルヒホッフ則とインピーダンス

この記事のポイント

・キルヒホッフ則は伝達関数を導出するための重要な法則。

・インピーダンス表記が必要になるので、時間の逆数として角速度ωを使う。

・複素数が出てくるのは、電気回路で複素数は応答時間を表すため。

周波数特性

この記事のポイント

・ΔVinをコンデンサと抵抗でインピーダンス分割したΔVoutを表す伝達関数を考える例。

・コンデンサのインピーダンス記述「1/ jωC」を伝達関数からイメージする。

・ボード線図(周波数特性)は基本となるので、ゲインと位相の考え方と意味することをきちんと理解する。

<アンプの伝達関数とは>

エラーアンプ、電圧アンプ、電流アンプの伝達関数の導出

この記事のポイント

・アンプの伝達関数は、DC-DCコンバータの伝達関数を導出する前提として重要である。

・ここでは、導出したエラーアンプの伝達関数から、一般的な電圧アンプと電流アンプの伝達関数の導出を確認する。

アンプのイマジナリーショート

この記事のポイント

・実際のゲイン/位相特性と導出された伝達関数が示す特性には相違点が存在する。

・アンプの伝達関数を導出する時は、イマジナリーショートを適用できる領域とできない領域が存在することを理解する。

スロープの伝達関数とは

電圧モードの伝達関数

この記事のポイント

・エラーアンプの出力とスロープ波からPWM出力を生成する部分の伝達関数を導出する。

・この項では最初に電圧モード制御の伝達関数を考える。

電流モードの考察

この記事のポイント

・電流モードのPWM生成は、固定ランプ波形とコイル電流によるスロープ波形を利用する。

・デューティサイクルは、エラーアンプの出力電圧-コイル電流帰還で決まる。

電流モードの伝達関数と各モードのまとめ

この記事のポイント

・電圧モードと電流モードの、スロープ波形とデューティ制御の違いを理解する。

・伝達関数の導出においては、以前の「電圧モードの伝達関数」および「電流モードの考察」の項を十分に参照する。

電流モードにおけるFmの導出

この記事のポイント

・電流モードにおけるランプ波の成り立ちを理解して、式を導出する。

・電流モードにおいてもFmは、1/(ランプ波の傾き×周期T)で表される。

サブハーモニック発振の理論解

この記事のポイント

・デューティサイクルが50%以上になるとサブハーモニック発振が起きる。

・伝達関数と直接関係はないが、サブハーモニック発振の理論解を理解することは重要。

補償ランプのスロープがダウンスロープの1/2以上必要な理由

この記事のポイント

・電流(ピーク電流)モードのDC-DCコンバータでは、サブハーモニック発振の対策として、「スロープ補償」が利用される。

・補償ランプのスロープは電流波形のダウンスロープの1/2より大きい必要があることを式で確認する。

スイッチングの伝達関数とは

ベースとなる降圧モード伝達関数の導出

この記事のポイント

・スイッチングブロックG3、出力フィルタブロックG4の伝達関数を求め、全体の伝達関数を導出する。

・G=G1×G2×G3×G4の記述に則り、まずは降圧モードの伝達関数を導出してみる。

状態平均化法

この記事のポイント

・状態平均化はΔvout/ΔD、ΔIL/ΔDを求めるための近似的手法。

・状態平均化法を利用できるのは、「1周期内で状態変化量が小さいこと」が前提。

・1周期の状態変化量=SWON時の状態変化量の時間平均+SWOFF時の状態変化量の時間平均。

状態平均化法-静解析

この記事のポイント

・状態平均化により導出した式に、静状態=0を代入して、静解析を行う。

・静解析の結果は、降圧、昇圧、昇降圧モードのすべてに適用できるものである。

状態平均化法-動解析

この記事のポイント

・状態平均化により導出した式から動状態Δvout/ΔD、ΔIL/ΔDを導く。

状態平均化法-別の視点から

この記事のポイント

・状態平均化により導出した式から動状態Δvout/ΔD、ΔIL/ΔDを導く。

・式導出の原理原則を理解すると、別の視点からも同様にΔvout/ΔD、ΔIL/ΔDを導くことが可能。

<各コンバータの伝達関数>

はじめに

この記事のポイント

・状態平均化法の考えを使ってさまざまな制御モードの伝達関数を導出していく。

・各コンバータにおいて導出するのは、Δvout/ΔD、ΔIL/ΔDであることを再確認する。

・共通化のための「単調な統一的なアプローチ」を導出することが最終目的である。

降圧コンバータの導出例

この記事のポイント

・各コンバータにおいて導出するのは、Δvout/ΔD、ΔIL/ΔDである。

・伝達関数は、系の安定状態を考え、外乱に対する変化量を求める2つのステップで導出する。

・この項では、電流および電圧モードの降圧コンバータの伝達関数を導出した。

昇圧コンバータの導出例

この記事のポイント

・各コンバータにおいて導出するのは、Δvout/ΔD、ΔIL/ΔDである。

・伝達関数は、系の安定状態を考え、外乱に対する変化量を求める2つのステップで導出する。

・この項では、昇圧コンバータの伝達関数を導出したが、降圧コンバータとまったく同様にして導出した点に着目。

昇降圧コンバータの導出例 その1

この記事のポイント

・各コンバータにおいて導出するのは、Δvout/ΔD、ΔIL/ΔDである。

・伝達関数は、系の安定状態を考え、外乱に対する変化量を求める2つのステップで導出する。

・昇降圧コンバータの伝達関数も基本的に昇圧コンバータ、降圧コンバータ同様に手順で導出する。

昇降圧コンバータの導出例 その2

この記事のポイント

・各コンバータにおいて導出するのは、Δvout/ΔD、ΔIL/ΔDである。

・伝達関数は、系の安定状態を考え、外乱に対する変化量を求める2つのステップで導出する。

・昇降圧コンバータの伝達関数も基本的に昇圧コンバータ、降圧コンバータ同様に手順で導出する。

スイッチのオン抵抗が伝達関数に与える影響

この記事のポイント

・スイッチのオン抵抗の影響も基本的に今までと同様の手順で導出する。

・オン抵抗を加味するかしないかで、一次の虚数項の違いが伝達関数に影響を与える。

・スイッチのオン抵抗は実際には必ず存在するので、伝達関数においても加味するための考察を行う。

これで、「DC-DCコンバータ:各制御系に対する伝達関数の共通化」は終了となります。