伝達関数
降圧コンバータの導出例
2017.03.14
この記事のポイント
・各コンバータにおいて導出するのは、Δvout/ΔD、ΔiL/ΔDである。
・伝達関数は、系の安定状態を考え、外乱に対する変化量を求める2つのステップで導出する。
・この項では、電流および電圧モードの降圧コンバータの伝達関数を導出した。
新章「各コンバータの伝達関数」の2回目です。ここからは、具体的に伝達関数を導出していきます。今回は、降圧コンバータの導出例を示します。前章も参照しながら読み進んでいただければと思います。
降圧コンバータの伝達関数導出例
以前から述べているように、導出する伝達関数は、 と です。降圧コンバータの伝達関数の導出にあたり、2つのステップを踏みます。
●ステップ1:系の安定状態を考える
これは、前章で説明した手順通りです。図3は、ダイオード整流型の降圧コンバータの基本回路です。系の安定状態とは以下の2つの状態で、各々を式と図で示します。式は「スイッチングの伝達関数:状態平均化法-別の視点から」で導出した、式4-28~4-31を使います。
① コイル電流は一周期で変化しない
② コンデンサの電荷量は一周期で変化しない
●ステップ2:外乱に対する変化量を求め、伝達関数を記述する
以下に、計算例を示します。
式4-28、4-29に対して、 とおいて代入すると、以下のようになります。
そして、式4-30、4-31を連立して と を求めると、以下のようになります。
この2つの式から、降圧コンバータの電流モード、電圧モード両方の伝達関数を導出することができます。
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