伝達関数

状態平均化法-別の視点から

2016.11.15

この記事のポイント

・状態平均化により導出した式から動状態Δvout/ΔD、ΔiL/ΔDを導く。

・式導出の原理原則を理解すると、別の視点からも同様にΔvout/ΔD、ΔiL/ΔDを導くことが可能。

前回は、動解析により、状態平均化の目的である、161110_img01 を導くための式を導出しました。今回は、別の視点から前回導出した式を導出するアプローチを示します。これは、あくまでも今まで式を導出してきた原理原則を理解していることが前提です。 前回の立式工程と各式が必要なので、同じものも今回も使います。

以下は、前回示した動解析です。先に導出したコイル電流とコンデンサの電荷量に関する式です。一通り、これを再確認してください。    

20161020_graf_01

前回同様に最後の式を書き出しましたが、これらの式を連立すれば、161110_img01 を求めることができるのも、前回説明した通りです。

20161020_graf_03-1

ここからが、今回の話になります。以下の式4-28、4-29は、sを 161110_img05のようにインピーダンス表記した式です。

tf_17_fom28-29

ここで 161110_img02とおいて整理すると以下になります。

tf_17_fom30-31

これらの式が、前回導出した式4-26、4-27と同様の結果をもたらします。

考え方の手順としては:

① 系の安定状態を考える
  1) コイル電流は 1 周期で変化しない
  2) コンデンサの電荷量は 1 周期で変化しない
  ※このとき、161110_img03 のようにインピーダンス表記する

161110_img03とおいて、161110_img01 を求める

このようにして、原理原則を理解していれば、比較的簡単に、161110_img01 を求めることができます。

これで、状態平均化法については最後になりますが、状態平均化法は近似法であるため、適応範囲と適応するための条件が重要である点を、必ず考慮することを忘れないようにしてください。