伝達関数

状態平均化法

2016.07.19

前回は、スイッチング電源のブロックごとに伝達関数を記述して立式しました。しかしながら、取り急ぎイメージができるように簡便に話を進めたため、降圧モードには適用できますが昇圧および昇降圧モードには適用できない式であることを説明しました。今回は、すべてのモードに適用可能な伝達関数を導出するために、「状態平均化」の考えを取り入れて行きます。

状態平均化法

状態平均化法は少々難しいかもしれません。しかし、この話を理解できれば、各モードの伝達関数を導出できるようになるはずです。

はじめに、状態平均化法は、

tf_14_fom1.gif

であることを、しっかり覚えておいてください。

図8は、降圧モード、昇圧モード、昇降圧モードのブロックと、それぞれの共通部分と相違部分を示しています。見ての通りで、あくまで相違部分はtf_14_fom2.gifであることは理解できると思います。

tf_14_fig8.jpg

次に、具体的にどのようにして状態平均化法が使用されているかを説明します。状態平均化法を利用できるのは、「1周期内で状態変化量が小さいこと」が前提になります。この前提が成立する場合に、「1周期の状態変化量は、SWON時の状態変化量と SWOFF 時の状態変化量のそれぞれの線形近似」で、以下のように表すことができます。

tf_14_fom3.gif

DC-DCコンバータの場合、状態変数としてコイル電流と出力コンデンサーの電荷量を選ぶことが一般的です。 具体例を降圧コンバータで示します。

tf_14_fom4.gif

sはラプラス変換を表しており、以降s=jωと考えても問題ありません。次回に続きます。