伝達関数

電流モードにおけるFmの導出

2016.03.10

この記事のポイント

・電流モードにおけるランプ波の成り立ちを理解して、式を導出する。

・電流モードのFmは、1/(ランプ波の傾き×周期T)で表される。

スロープの伝達関数として、代表的な制御方法である電圧モードと電流モードの伝達関数を導出してきました。ここでは、電流モード(ピーク電流モード)の変調器ゲインFmを導出します。

変調器ゲインFmは、デューティサイクルDの変化を司る制御電圧の変化VCであることは、電圧モードおよび電流モードの伝達関数を導出する際に説明してきました。ここで導出するのは電流モードのFmですが、考え方のベースは同じなので、電圧モードと電流モードの伝達関数を参照しながら読み進んでもらえればと思います。

電流モードにおける Fm の導出

すでに説明してきたように、電流モードのランプ波にはコイル電流の情報が帰還されています。したがって、固定ランプ波形が加算されない場合のランプ波形は、帰還分の「リップル電流Iripple×カレントセンスゲインRS」になります。

このランプ波形が、エラーアンプの出力VCと交わる点でスイッチはオフになるので、コイル電流の情報がなくなり、ランプ波形の上昇は途絶えてゼロになります。図 9に、この動作を示します。

ここで、オン時のリップル電流は式3-9で表すことができます。

図 9において三角形の相似を考えると式3-10が成立し、さらにT:TONをDに置き換えると式3-11が求められます。


そして、式3-11に式3-9を代入すると、Fmを式 3-12 で表すことができます。

ここで、コイル電流によるランプ波の傾きをSnとすると、Snは式3-13で表すことができ、式3-12のFmは式3-14に書き換えることができます。


これで、電流モードのFmを導出することができました。