伝達関数

電流モードの考察

2016.02.02

この記事のポイント

・電流モードのPWM生成は、固定ランプ波形とコイル電流によるスロープ波形を利用する。

・デューティサイクルは、エラーアンプの出力電圧-コイル電流帰還で決まる。

スロープの伝達関数の2つ目、前回の電圧モードに続いて電流モードの伝達関数を考えていきます。

電流モードの考察

図3

図3

DC-DCコンバータにおける電流モード制御は、電圧モードと並んで基本的な方式です。電圧モードでは、エラーアンプの出力電圧Vcを固定のスロープ(Slope)波(三角波/ランプ波)と比較することで、PWM信号のデューティサイクルを決めていました。

それに対して電流モードでは、固定のランプ波にカレントセンスゲイン(Rs)×コイル(インダクタ)電流(IL)を加算したスロープ波形を利用して制御を行います。

電流モードのスロープ波形 = 固定のランプ波 + カレントセンスゲイン(Rs) x コイル電流(IL)

カレントセンスゲインとは、コイル電流の変動に対してエラーアンプの出力が何倍変動するかを示した定数のことです。

コイル電流は図3が示すようにハイサイドスイッチ(トランジスタ)がオンの時に検出し、その情報を利用する方法が一般的です。その手法を用いた時のスロープ波形を図4に示します。

図4

図4

「電圧モード」の項の図2と同様に、Vc > Vslopeの時 ハイサイドスイッチをオンにする制御を行います。オンのタイミングで、コイル電流ILのDC成分とRsの積に該当するオフセットが生じ、そこからハイサイドスイッチがオフするまでILのリップル電流によるスロープが生成されます。つまり、電流モードのスロープ波形は式3-4の範囲で変化します。

式3-4

電流モードでは、図4および式3-4で示されるスロープ波形を利用してデューティサイクルを制御するので、デューティサイクルは、エラーアンプの出力電圧(Vc) – コイル電流帰還(Rs・IL)で決まります。

次回は、ここまでの考察を基に、電圧モードとの比較を交えて電流モードの伝達関数を導出していきます。