DC-DCコンバータ|評価編

同期整流降圧コンバータの制御IC消費電力損失

2017.11.14

この記事のポイント

・制御ICの自己消費電力による損失は、軽負荷時の効率に大きく影響する。

・損失計算は、電源電流と電源電圧の積で非常にシンプル。

・測定条件はそのICのデータシートを参照する。

今回は、前回の「デッドタイム損失」に続いて、制御IC(Controller)の自己消費電力による損失を考察します。

制御ICの自己消費電力損失

この例では、電源用ICとして同期整流式の制御IC、つまりパワースイッチを内蔵していないコントローラタイプのICを使用しています。電源回路を制御するこのICも動作のための電源が必要で、当然のことながら電力を消費します。そして、この消費電力が損失の一部となります。上図のPICが該当になります。

ここでは、電源ICが純粋に制御動作で消費する電力について考察します。というのは、制御ICは外付けのMOSFETをスイッチするゲートドライバーを含んでおり、通常、パワースイッチが連続的にスイッチングしている場合は、ゲートドライバーの消費電力が支配的になります。そのため、電源がそれなりの負荷電流を常に供給しているアプリケーションでは、制御ICの自己消費電力はあまり問題にならないことが多いと思います。ところが、軽負荷時の間欠動作や非常に周期の長いPFM動作では、IC自体の消費電力が支配的になり、効率に大きな影響を与えます。従って、軽負荷時の効率の考察が必要な場合には、ICの自己消費電力による損失を把握することが必要です。

計算式は非常にシンプルです。ICの最も単純な消費電力の計算になりますが、いくつかの検討が必要になる場合があります。

他のセクションとの整合性を保つため、スイッチングの波形を示しましたが、そのICのデータシートに示されている測定条件によっては、スイッチングを停止した条件になる場合があります。

また、ICのピンの関係で、制御回路用の電源ピンとゲートドライバー用の電源ピンが別個の場合と共用の場合があります。GNDも同様です。自己消費とドライバーの消費の切り分けが簡単ではないことがあります。いずれにしても、データシートにある自己消費電流に該当する項目の条件を参照して測定する必要があります。

次回は、ゲートドライブに関する損失を予定しています。

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