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スイッチングレギュレータの特性と評価方法

電源ICのデータシートの読み方:応用回路例

「電源ICのデータシートの読み方」として、「データシートの表紙」、「ブロック図」、「絶対最大定格と推奨動作条件」、「電気的特性の勘所」、「特性グラフ、波形の見方」まで話を進めてきました。この項では、データシートに記載がある「応用回路例」について説明します。

・応用回路例
電源ICのデータシートにかかわらず、基本的にデータシートにはそのICの応用回路例が掲載されています。掲載がない場合には別途アプリケーションノートのような名称で、応用回路例を補完する資料が用意されているはずです。これらの目的は、そのICを使った標準的な回路例を示すことで、設計の出発点として利用してもらうことです。各端子や搭載機能の説明が文章で示されていますが、回路図がまったくない状態で説明されてもわかりずらいですし、逆に例を使わずに説明することも難しいと思います。

メーカーに対して確認が必要ですが、掲載されている応用回路例は、実際に回路が構成され動作が確認されているものが多いです。また、並行して、その回路の評価ボードが用意されていることもあります。幸いにしてスイッチングレギュレータICを使った回路構成は、ICにしたがった基本形となる回路があり、外付け部品の定数を変更するだけで要求仕様に合わせ込むことができます。もちろん特別な条件や要求にはさらなる調整や工夫が必要ですが、基本形である応用回路例や評価ボードを利用して、自身の設計に合うようにモディファイしながら評価を進めると、設計と評価時間を短縮することができるので大いに利用することをお勧めします。

下記の回路図は、説明の例に使っているBD9A300MUVというスイッチングレギュレータICのデータシートからの抜粋です。いくつかのコンデンサと抵抗、1個のインダクタが必要で、基本的には出力電圧に合わせて部品の定数を設定します。

10D_appli
10D_parts

また、データシートによっては、代表的な出力電圧をもとに各外付け部品の定数や型番を提供している場合があります。このICのデータシートでも提供されていますので、例として抜粋を示します。このICの例では、基本的にこの応用回路例に対して、設定電圧に対応する部品を表から選択して、設計を進めることができます。もともと部品点数が少なく設計が簡単な電源ICなので、そのような情報が付加されていることで、さらに迅速に設計を進めることが可能になります。

・基板レイアウト
応用回路例に関連して、時々あるトラブルの例です。「データシートに載っていた回路図、部品で回路を組んだが、ちゃんと動かない」という話です。単純な結線のミスなどがない前提では、このような問題の多くは基板レイアウトに起因します。

スイッチング電源の設計が一般化した昨今では、「スイッチング電源設計において基板レイアウトは重要」という認知がかなり高まったと思います。しかしながら、蛇の目基板(ユニバーサル基板)や時に空中配線で組まれた回路で評価を行おうという例や、ここまでひどくなくても、プリント基板を作ったけれど配線の引き回しや部品の設置場所が適切でないために、大きなスパイクが出て、場合によってはICを壊してしまった例もあります。

こういったトラブルを起こさないために、データシート、もしくはアプリケーションノートには、基板レイアウトの例が示されています。両面基板になることが多いので両面のレイアウトが示され、さらにそのまま基板作成に使用できる電子ファイル(ガーバーファイルなど)が提供されていることもあります。

先に述べた通り、スイッチング電源が期待した性能と特性を発揮するためには、適切な基板レイアウトが必要です。応用回路と基板レイアウトは表裏一体ですので、どちらもこういった情報を参照することを強くお勧めします。

以下に、データシートから抜粋した、基板レイアウトに関する情報とレイアウトのページを示します。一例として参考にしてください。

10D_layout

上記で、評価ボードについて記しましたが、参考までに追記します。評価ボードについては、データシートにその型番が記載されていたり、参照URLが掲載させれていることがありますが、近年はメーカーのホームページの製品ページに行くと関連情報のリンクが提供されています。例として、こちらはBD9A300MUVのトップページになりますが、「評価ボードデータダウンロード」というボタンがありますので内容を見てみてください。評価ボードのマニュアルには、ボードの仕様の他モディファイの方法、基板レイアウトなどが提示されています。他には、基板レイアウト用のガーバーファイルも提供されています。

キーポイント

・標準的な回路例として、部品選定(型番、定数を含む)と設計の出発点になる。

・記載の回路は、基本的にメーカーにより動作が確認されており、評価ボードも用意されている場合がある。

・動作が確認されている回路か否かは念のためメーカーに確認が必要。

・期待した性能と特性を得るためには基板設計も重要なので、回路例と合わせて利用する。


スイッチングレギュレータの特性と評価方法