DC-DCコンバータ|設計編

ノイズ対策:コーナー配線、伝導性ノイズ、放射ノイズ

2017.02.14

この記事のポイント

・コーナー配線は円弧を描くようにして配線インピーダンスの変化を低減してノイズを出さないようにする。

・音端子電圧(伝導性エミッション)の対策には、ノイズ周波数に合わせたビーズやπ型フィルタを使う。

・雑音電界強度(放射ノイズ)は入力コンデンサの配置の最適化とスイッチング波形の急峻さを調整する。

今回から2回に分けて、基板レイアウトとノイズの関係について説明します。

コーナー配線のノイズ対策

どうしても配線パターンはコーナー(曲がり)を必要としますが、その曲げ方によって、EMIの悪化を招くことがあります。基板レイアウトの経験のない人は、まさかと思うかもしれません。こういったことが、経験、ノウハウということになります。

下の図は、コーナー配線の良し悪しを示しています。コーナー配線を直角に曲げると、コーナーでインピーダンスが変化してしまいます。そうすると、電流波形に乱れが生じ、反射と呼ばれる波形の乱れが生じます。スイッチングノードなど周波数が高い配線では、反射によりEMI の悪化する可能性があります。

コーナー配線は直角に曲げずに、 45°や円弧を描くのが好ましい曲げ方になります。曲げの半径が大きい程インピーダンスの変化は小さくなります。

雑音端子電圧(伝導性エミッション)の対策

雑音端子電圧は入力ラインに帰還するノイズであり、伝導性エミッションとも呼ばれます。主に発振周波数の倍数にノイズ帯域が現れます。

このノイズは、フェライトビーズやπ型フィルタ入れることで抑えることができます。このようなノイズ対策部品は、落としたい帯域(低減したいノイズ)の部品を選定しなければなりません。それには、ノイズを確認して周波数の見当をつけておく必要があります。以下の図は、雑音端子電圧の測定データの例です。

雑音電界強度(放射ノイズ)の対策方法

もう一つ検討しなければならないノイズに雑音電界強度(放射ノイズ)があります。DC-DCコンバータの放射ノイズは、スイッチングオンとオフの波形の傾きとリンギングによって発生し、おおよそ100MHz~300MHzのノイズが発生します。

スイッチングの立ち上がりおよび立ち下がり時のリンギングは、主にMOSFETと入力コンデンサ間の配線インダクタンスに起因しており、インダクタンスの大小がノイズに影響します。

入力コンデンサの配置の項で説明したように、入力コンデンサの配置と配線を最適化することにより、ノイズのレベルを落とすことができます。

DC-DCコンバータ回路の放射ノイズが、搭載機器が対応しなければならない規格を超えた時の対策として、スイッチング波形を緩やかにする方法とスナバ回路を追加する方法があります。

以下の波形図は、放射ノイズの測定例です。200MHz弱の領域が少々厳しい結果を示しています。

次回は、この放射ノイズを低減する方法について、もう少し具体的に説明します。

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