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DC/DC

DC/DCコンバータの基板レイアウト

入力コンデンサとダイオードの配置

ここからは、具体的な部品の配置の説明をして行きます。今回は、以下の項目の3つ目「入力コンデンサとダイオードの配置」です。

入力コンデンサとダイオードの配置

これから説明する基板レイアウトは、電流経路の説明で使った右の回路をベースにしています。この回路を思い浮かべながら、基板レイアウトの図を見ていただければと思います。

まず始めに、最も重要な部品として入力コンデンサとダイオードを配置します。

この章の最初の「DC/DCコンバータの基板レイアウト概要」に記した「PCB レイアウトのポイント」では
入力コンデンサとダイオードをIC端子と同じ面に、可能な限り IC の直近に配置する
と、しています。これは、端的ですが非常に重要なポイントですので常に念頭に置いておいてください。

入力コンデンサは、電流容量が小さい電源(IO≤1A)の場合は容量値も小さくなるため、セラミックコンデンサ1個でCINとCBYPASSを兼ねられる場合があります。これは、セラミックコンデンサは容量値が小さくなるにつれて周波数特性が良くなるためです。ただし、セラミックコンデンサによって周波数特性が異なるので、実際に使用する部品の周波数特性を確認することが必要です。

CINに使用する大容量コンデンサは、以下に示すように一般的には特別周波数特性がよいものでないので、CINに並列に周波数特性が良い高周波用デカップリングコンデンサCBYPASSを配置する必要があります。

CBYPASSには表面実装タイプの積層セラミックコンデンサを使用してください。

Figure 2. セラミックコンデンサの周波数特性

Figure 2. セラミックコンデンサの周波数特性

Figure 3-a. 望ましい入力コンデンサの配置

Figure 3-a. 望ましい入力コンデンサの配置

それでは、実際のレイアウトを示しながら、良い例と良くない例の説明をして行きます。

Figure 3-aに望ましい入力コンデンサのレイアウト例を示します。CBYPASSをIC端子と同じ面の直近に配置しています。

Figure 3-b. CBYPASSがICと同じ面の直近に配置している場合はCINは2cm程度離れていても問題ない

Figure 3-b. CBYPASSがICと同じ面の直近に配置している場合はCINは2cm程度離れていても問題ない

それに対して、 Figure 3-bは妥協した例です。

CBYPASSがパルス状の電流の大部分を供給するので、大容量コンデンサ CINはFigure 3-bのように2cm程度であれば離れていても問題は起きないと思われますが、最初に示したように「できる限りICに近づける」ようにしてください。

Figure 3-c. CINを裏面に配置した場合リップル電圧の増加が懸念される

Figure 3-c. CINを裏面に配置した場合
リップル電圧の増加が懸念される

スペースの問題でICと同じ面にCINが配置できない場合には、CBYPASSが正しく配置されている事を条件に、Figure3-cのようにビアを介して裏面へ配置することが可能です。

ただし、この場合、ノイズに関するリスクは回避できる可能性はありますが、ビア抵抗の影響で大電流時にリップル電圧が増加する可能性がありますので、実際の確認が必要です。

Figure 3-d. やってはいけない入力コンデンサの配置ビアインダクタンスによりノイズが増加

Figure 3-d. やってはいけない入力コンデンサの
配置 ビアインダクタンスによりノイズが増加

次のFigure 3-dはCBYPASSとCINを裏面に配置したレイアウトです。

このレイアウトは、ビアのインダクタンス成分により電圧ノイズが増加するので、絶対にこのようなレイアウトをしてはいけません。

Figure 3-e. 望ましいフリーホイールダイオードの配置

Figure 3-e. 望ましいフリーホイールダイオードの配置

Figure 3-e は、CBYPASS、CINおよびダイオード D1の望ましいレイアウトです。

CBYPASSは、ICのVIN端子およびGND端子の直近に配置することが重要です。

ただ、降圧コンバータの場合CBYPASSを ICの直近に配置しても、CINのグランドに数百MHzの高周波が存在します。そのため、CINのグランドと出力コンデンサCOのグランドは、1cm~2cm離して配置することを推奨します。

ダイオードD1もIC端子と同じ面の直近に配置します。ダイオードは最短かつ幅広い配線を使用して、ICのスイッチング端子とGND端子に直接接続する必要があります。

ビアを介して裏面へ配置すると、ビアのインダクタンスの影響によりノイズが増えるので、絶対にビアを介していけません。

Figure 3-f. 良くないダイオードのレイアウト

Figure 3-f. 良くないダイオードのレイアウト

Figure 3-fは、良くないダイオードのレイアウトの例です。

CBYPASSと、ICのVIN端子およびGND端子との距離が離れているため、配線インダクタンスの 影響で電圧ノイズ/リンギングが発生します。

ダイオードと、ICのスイッチング端子およびGND端子との距離が離れているため、配線インダクタンスが増加しスパイクノイズが大きくなります。

CBYPASSの配置が不適切、つまり近接して配置されない場合は、配線長やビアによって寄生インダクタンスが増えます。そうすると、スイッチングにともない大きなリンギングが発生します。

また、入力コンデンサまでのループがアンテナとなり、周辺にノイズが放射されてしまいます。

下の波形は、CBYPASSが2mm離れた場合と10mm離れた場合の波形です。明らかにリンギングが大きくなるのがわかります。

淡々と説明してきましたが、それは、レイアウトの影響は非常に素直でやったことがそのまま結果に出るからです。実際のレイアウト作業においては、どうしても妥協せざる得ない場合があると思います。ただし、妥協は最低限にして、あくまでも理想通りのレイアウトを目指してください。

キーポイント

・最初に入力コンデンサとダイオードの配置から開始するとよい。

・入力コンデンサとダイオードをIC端子と同じ面に、可能な限りICの直近に配置するのが鉄則。

・寄生インダクタンスはノイズの原因となるので、ビアの使用は十分に検討する。電流がスイッチする場所は要注意。


周辺部品の選定方法とPCBレイアウト