制御(電源)IC の選択

2014.05.27

この記事のポイント

・電源ICの選択は設計に大きく影響する。

・一般的には、保護機能はICに搭載されているものを利用する方が設計の能率が上がる。

仕様が決まれば、それを満足する電源ICの選択に取り掛かります。前述したように、ここでは電源ICを使用することを前提としています。

要求事項をもとに、適するAC-DC方式がトランス方式なのかスイッチング方式なのか、降圧か昇圧か、フライバックかフォワードかなどを決めて電源ICの選択に入ります。つまり電源ICの選択は、電源方式の決定を意味します。基本的に電源ICは特定の方式にしか対応できないので、決めた方式のICを選ぶことになります。電源ICを使った設計においては、電源ICが担う部分が大きく、使うICによって回路や部品が決まってきます。言い換えれば、ICを中心に設計することになるといっても過言ではありません。

図 31

電源ICには様々なバリエーションがあり、備えている機能もそれぞれです。電源ICを選択する際には、設計する電源に必要な機能を備えたICを見つけることがポイントです。特に保護機能に関しては、それを外付け回路で実現しようとすると、電源ICより多くの追加部品と実装面積が必要となり、さらに設計と評価の時間までが追加となります。こういった理由から、ディスクリート構成での機能追加はあまり現実的ではないといわざるを得ません。電源ICをうまく使うというアプローチは、設計の能率向上につながります。

選択において、「大は小を兼ねるか?」という質問を受けることがあります。多くは、高耐圧のものや大電力対応のもので広くまかなうといった主旨だと思います。答えとしては「兼ねることは可能」になるのですが、効率や外付け部品の最適化を考えるとお勧めはできません。

最後に、スイッチング電源用のICはメーカ間であまり互換性がありません。似たような構成ですが、何よりもピン配置が違います。リニアレギュレータの78シリーズのように差し替えは基本的にできませんので、設計途中、特に基板レイアウトをしてしまってからの部品変更は再設計を意味することになるので、ICの選択には十分な検討が必須です。

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