フォワード方式とは
2014.05.27
この記事のポイント
・フライバックよりは複雑になるが、二次側はダイオード整流(非同期)のDC-DCと同じ原理。
・スナバも電源設計ではよく出てくるので、ここで原理を理解しておく。
フォワード方式も構成が比較的簡単で制御も容易なことから、ポピュラーな方式の一つです。
特徴として、フライバック方式より大電力を出力できますが、インダクタとフライホイールダイオード(転流ダイオード:D2)が必要になります。また、フライバックと同様に、出力からの帰還にフォトカプラを使用して絶縁することで絶縁電源にすることができます。
動作は以下のようになります。MOSFETがONすると、ダイオードD1がONして、インダクタを通して負荷に電流を供給します。MOSFETがOFFすると、インダクタに蓄えられたエネルギーをダイオードD2を通して負荷に電流を供給します。各部の波形を図23に示します。
フォワード方式は、トランスを片方向のみ励磁するので、トランジスタがOFFしている間にトランスに蓄えられたエネルギーを放出(リセット)しなければなりません。そのためリセット(スナバ)回路が必要になります(図21のトランス一次側にあるRCD)。リセット回路は一般的に抵抗/コンデンサ/ダイオードによる回路で構成しますが、基本的にこのエネルギーは損失することになり、トランスの利用効率はあまり高いとはいえません。
またリセット動作にともない、スイッチングトランジスタにはDC入力電圧の1.5~2倍もの電圧が加わります(図22のVpとVdsの波形のVR)。この電圧は、スナバの抵抗とコンデンサにより変わります。最近では、このリセットしなければならないエネルギーを回生して、損失とVdsを軽減できるアクティブクランプを組み合わせた方法が使用されるようになってきました。
また、降圧の場合は一次側の電流が少ないので、コイルに溜まるエネルギーもそんなに大きくありませんが、昇圧に使うと一次側の電流が大きくなります。コイルに溜まるエネルギーも電流の二乗になるので、リセット回路で損失するエネルギーが大きくなります。そのため、この回路は降圧には使われますが、昇圧にはほとんど使われません。
AC-DC変換では、主にスイッチング方式に使われます。トランス方式にも使うことができますが、フライバック方式と同様に絶縁が必要な場合などに限定されます。
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