性能評価事例の設計目標と回路

2015.07.07

この記事のポイント

・実際の設計では、出来上がった回路基板を評価し、設計目標が達成されているかどうかを確認する。

前項では、性能評価を行う絶縁型フライバックコンバータに使う電源用ICに関する確認をしました。ここでは、設計する電源回路の仕様、つまり設計目標とそれを達成するための回路を確認します。設計に関して詳細を知りたい場合は、「設計編」を参照願います。評価編では、あくまでも評価の前提としてその電源回路を確認する内容にとどめています。

設計目標(電源仕様)

必然的なプロセスとして、電源の設計に入る前には(電源だけではありませんが)、設計目標として設計する電源の仕様を決定します。仕様は、電力を供給する先の要求に基づくのは言うまでもありません。ここでは、以下を設計目標とします。

パラメータ Min Typ. Max 単位 条件
入力電圧 90 264 VAC
無負荷時入力電力 50 mW 入力:100VAC/230VAC
出力電圧 11.4 12 12.6 V
出力電流 1.5 A
出力リップル電圧 100 mV 帯域幅20MHz
効率 80 % 出力:12V/1.5A

入力電圧は、ユニバーサル入力とも呼ばれる世界のほとんどの国の電源に対応する仕様です。±10%のマージンを設定してあります。

無負荷時入力電力は、待機時電力のことです。Energy Starなどでは厳しい目標値が設定されています。ここでは、Energy Starに該当しませんが、十分小さな値を設定しています。

出力リップルは、この類の仕様ではかなり小さな100mVを最大値とします。

効率は80%を最小値として、高効率なAC-DCコンバータを目指します。

設計回路と部品

評価用回路には、設計目標を満たすであろう以下の回路を使います。参考までに部品の一覧も示します。


トランスは、YPP1183となっていますが、念のため詳細を提示します。

実際の回路基板

上記の回路と部品で作った実際の回路基板の写真を示します。AC-DCコンバータゆえ高圧部品を含むので、近年の全表面実装DC-DCコンバータとは少しイメージが違いますが、写真の通り非常にコンパクトです。


この回路基板を使って評価を行い、設計目標を満足するかを確認します。

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