主要部品選定:出力コンデンサ、出力設定および制御部品

2018.07.31

この記事のポイント

・出力コンデンサは、出力負荷で許容可能なPeak-to-Peakのリップル電圧(ΔVpp)とリップル電流から決まる。

・出力電圧設定抵抗はデータシートに記載の式から算出できる。

・帰還信号調整部品は、データシートに記載の定数に従う。

前回に続き、今回も二次側(出力)関連の部品選定です。

出力コンデンサ:Cout1、Cout2

出力コンデンサの働きをおさらいします。MOSFETがオンの時、出力ダイオードDN1はオフ状態です。この時、出力コンデンサから負荷に電流を供給します。MOSFETがオフの時に出力ダイオードDN1はオン状態になり、この時に出力コンデンサにチャージするとともに負荷電流も供給します。

出力コンデンサは、出力負荷で許容可能なPeak-to-Peakのリップル電圧(ΔVpp)とリップル電流から決まります。最初にコンデンサのインピーダンスZ_Cを求めます。

ΔVpp=200mVとすると、

    出力コンデンサのインピーダンス計算。60kHz時

※60kHz(fsw min)にて

絶縁型擬似共振コンバータの出力コンデンサ

一般的なスイッチング電源用電解コンデンサ(低インピーダンス品)のインピーダンスは100kHzで規定されているので、100kHzに換算します。

    出力コンデンサのインピーダンス計算。60kHzから100kHzへの換算。

続いて、リップル電流Is(rms)を求めます。Isは以下の式で求められます。

    出力コンデンサのリップル電流計算

次に、コンデンサの耐圧は出力電圧の2倍程度を目安にします。

    出力コンデンサのリップル電流計算

耐圧は50V以上を選択します。

算出したインピーダンス以下、リップル電流定格は計算値以上、耐圧は50V以上の条件に合う電解コンデンサを選定します。回路例では、スイッチング電源用の低インピーダンスタイプで50V/470μF×2(並列)としています。

実際のリップル電圧とリップル電流は、必ず実機で確認をしてください。

出力電圧設定抵抗:R25、R26、R28、U3

出力電圧は以下の式で設定します。U3はTL431タイプのシャントレギュレータで、出力電圧を設定するための基準電圧Vrefです。Vrefは2.495Vとします。

    出力電圧設定抵抗の計算。

実際は、出力電圧から逆算してください。

出力電圧帰還信号調整回路。

帰還信号調整部品:R24、R27、R32、C15、U2

この回路例では、出力電圧Voutの安定化のためにVoutを右の回路で調整し、絶縁のためにフォトカプラを通して、電源ICのFBピンに帰還します。

R27、C15は位相補償回路です。R27=1k~30kΩ、C15=0.1μF程度として実機で応答を確認しながら調整してください。

R32はフォトカプラU2の電流制限抵抗です。300~2kΩで調整してください。

R24はシャントレギュレータU3のカーソード電流設定抵抗です。U3のTL431では1mAを確保する必要があるので、R24はフォトカプラのVf/1mA=1kΩとします。

AC-DC コンバータ