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非絶縁型バックコンバータの設計事例

主要部品の選択:出力整流ダイオード D4

今回は、出力整流ダイオードの選択について説明します。

出力整流ダイオード D4

出力整流ダイオードは、キャッチダイオードまたはフリーホイールダイオードとも呼ばれます。また、同期整流型では、このダイオードはトランジスタに置き換えられて、ローサイドスイッチなどと呼ばれる部分です。

右の回路図が示す通り、出力ダイオードD4は出力からGNDに接続されます。ハイサイドのMOSFETがオフすると、インダクタに蓄えられたエネルギーがD4通じて出力されます。

A4_8_ckt

出力ダイオードの定数算出

出力整流ダイオードは、スイッチング周波数でオンオフするので、高速なスイッチングが可能なファストリカバリダイオードを使用します。検討することは、耐圧と損失になります。

出力ダイオードに印加される逆電圧は、マージンを考慮して以下とします。

  Vdr = VIN (max)÷0.7 = 372V÷0.7 = 531V → 600V とする

ダイオードの損失は、概算になりますが、以下になります。

  Pd = VF×Iout = 1V×0.2A = 0.2W

ダイオードは 回路図に指定があるように、RFN1L6Sを使います。

以下は、ファストリカバリダイオード RFN1L6Sの規格値表とVF-IF特性です。今回は回路例があるので、実際にダイオードを探す作業は必要ありませんが、せっかくなので、検索か何かで、600V耐圧で0.2A以上流せるダイオードとして、このRFN1L6Sがヒットしたとして検討してみましょう。

A4_8_rfn1l6s
A4_8_vf-if

耐圧として、VR、VRMともに600Vが最大定格ですので、算出した値に合致します。IOは0.8Aなので、能力的には実際のIoutの0.2Aに対してかなり余裕がありますが、許容電力を考えるとこのくらいの余裕があってもよいかと思います。また、設計仕様にぴったりなバリエーションがあるとは限りません。というよりも、ちょうどいいことの方がすくないかもしれません。いずれにしても、近似で余裕のある側のもので妥協する必要はあります。

そして、VFーIF特性を載せたのは、計算ではVFを1Vとしましたが、スペックでは最大1.45V、Typ 1.15Vが規定されているので、「1Vで計算してよいのか?」という疑問をもった方への説明のためです。VFの条件としてIF=0.8Aとなっています。実使用時のIFは0.2Aなので、グラフから0.2A時のVFを求めると、最悪の温度条件でも1V以下であることがわかります。つまり、この算出は実際の条件に近い数値を使った計算になっています。

どこまでマージンを取るかというのは、経験則によることになります。あまりマージンを取り過ぎると過剰な設計になり、コストやサイズがかさむことがあり判断は難しいのは事実です。やはり経験を積むことになります。

経験則の話をしましたが、実際に使用する条件において、損失とジャンクション温度を確認することは必須です。

キーポイント

・通常、出力整流ダイオードは、スイッチングが高速なタイプを使う。今回はファストリカバリダイオードを使用。

・出力整流ダイオードは、基本的に耐圧と損失の検討により選択する。


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