絶縁型フライバックコンバータの基本:スイッチングAC-DC変換とは

2014.08.29

この記事のポイント

・スイッチング方式のAC-DC変換は、高電圧ACを直接高電圧DCに変換し、それを再びACに変換し低電圧DCに変換する。

最初に、スイッチング方式のAC-DC変換について簡単におさらいします。右の基本回路とその下の波形を参照して下さい。

ここでは、日本国内をイメージして入力電圧を100VACとします。この100VACを最初にダイオードブリッジで整流します。これは全波整流になります。100VACをそのまま整流しますので、ダイオードブリッジは高電圧に耐えうる仕様のものが必要になります。100VACはピーク値では140V程度になります。

次にコンデンサを使って平滑します。こちらも高電圧のものが必要になります。

原理的な意味では、この時点でAC-DC変換が行われていますが、一般のDC駆動回路が使えるDC電圧にするため、この後いくつかの工程を必要とします。

3A_basic_hdwr
3A_basic_wave

整流器とコンデンサで変換されたこの高圧のDC電圧は、スイッチング素子のオン/オフによってチョッピング(切り分け)され、高周波トランスを介して二次側にエネルギー伝達されます。スイッチング素子のオン/オフ周波数、つまりスイッチング(チョッピング)周波数は、例えば50kHzといった元の50/60Hzに比べかなり高い周波数を使います。また、チョッピングされたDC電圧は、図のような方形波のACになります。

この高周波のAC電圧は二次側の整流ダイオードで整流され、コンデンサで平滑され、DC出力電圧設定が12Vであれば、12VDCに変換されます。図では高周波ACの整流波形が省略されていますが、1個のダイオードによる半波整流になります。

ACからDCへの変換工程と動作を整理すると、一次側では100VACをそのまま整流-平滑して高圧のDC電圧に変換します。次にその高圧DC電圧をスイッチング素子を使い高周波の方形波に変換し、トランスを介して二次側に伝達します。二次側では高周波AC電圧が発生するので再び整流-平滑して所望のDC電圧に変換します。

この方式では、100VACを所望のDC電圧に変換するために、スイッチング素子のオン/オフ時間を制御する必要があるので、そのために制御回路(制御ICと帰還回路)を用います。これが基本的なスイッチング方式のAC-DC変換になります。

【資料ダウンロード】PWM方式フライバックコンバータ設計手法

実際の電源用ICを用いた設計手法の説明です。電源仕様の決定から電源ICの選択、レイアウト設計に関する内容の他、一般にあまり説明のないトランスの数値算出方法と構造設計の具体例を含んでいます。

絶縁型フライバックコンバータの基本:スイッチングAC-DC変換とは

AC-DC コンバータ

PWM方式フライバックコンバータ設計手法